坂東三津五郎 (7代目)

七代目 坂東三津五郎について

七代目坂東三津五郎（しちだいめ ばんどう みつごろう）は、日本の伝統芸能である歌舞伎において、特に舞踊の分野で傑出した才能を持つ役者です。彼は1882年に東京で生まれ、家系には歌舞伎の伝統を受け継ぐ多くの著名な役者が存在しました。彼自身もダンスや演技に関する豊富な経験を積みながら、歌舞伎界での地位を確立していきました。

略歴の概要

坂東三津五郎は新富座座元である十二代目守田勘彌の長男として誕生しました。彼の初舞台は、1889年に桐座で行われた『伊達競阿國歌舞伎』で、ここで二代目坂東八十助を継承しました。その後1906年、歌舞伎座で『盲長屋梅加賀鳶』の役を通じて七代目坂東三津五郎を名乗ることになります。また、その年には舞踊坂東流の家元への道も歩み始めました。

彼はその後、歌舞伎界の大物、六代目尾上菊五郎や初代中村吉右衛門との共演を通じて、更なる名声を得ていきました。晩年には、曾孫を舞台に抱いて出演するなど、後世への指導も行いましたが、1961年に79歳でこの世を去りました。

受賞・顕彰

坂東三津五郎は、その芸術的な功績により数々の名誉を受けています。1948年には日本芸術院の会員に、1955年には人間国宝に認定され、1960年には文化功労者として顕彰されました。これらの受賞は、彼がただの演者ではなく、日本の伝統文化を支える重要な存在であったことを示しています。

歌舞伎界における特徴と影響

坂東三津五郎は優れた実力を持ちつつ、小柄な体格と甲高い声が特徴でした。しかし、彼の真骨頂は、その卓越した所作にありました。「西の又一郎、東の三津五郎」と称されるように、彼は同時代の人々に強い印象を与えました。彼は明治時代の名人である四代目中村芝翫から直接指導を受けた経験もあり、その技術と知識は群を抜いていました。

彼の配役は比較的軽いものが多かったにもかかわらず、『壷阪霊験記』の澤市や『娘道成寺』の押戻など、多くの作品でその才を発揮しました。また、『遅櫻手爾葉七文字』や『傀儡師』など、数々の舞台でのパフォーマンスや映像記録は、彼の舞踊の卓越性を物語っています。六代目尾上菊五郎との共演作も観客に高く評価され、彼の舞台はいつも観客を魅了しました。

晩年には、彼の演技はすべてを超越した味わいを持ち、観客に深い感動を与えました。彼はまた、坂東流の普及に努め、舞踊家として重要な役割を果たしました。

著書と記録

坂東三津五郎の思いや技術を知る上で、彼が口述した芸談をまとめた2冊の回顧録も貴重です。

• - 『三津五郎芸談』
• - 『三津五郎舞踊芸話』

これらの著作も、彼の舞台芸術に対する理解を深める手助けとなるでしょう。彼の影響力は今も続いており、彼は「踊りの神さま」として後世に語り継がれています。

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