坂東曲

坂東曲（ばんどうぶし）とは

坂東曲は、東本願寺において、報恩講の最終日である11月28日（御正忌結願日）に、親鸞聖人の命日を偲んで行われる特別な法要儀式です。式間念仏として執り行われ、僧侶が首や体を前後左右に激しく揺り動かしながら、独特の節回しで念仏や和讃を唱えるという特徴があります。

坂東曲の起源

坂東曲の起源については、確かな記録がなく、様々な説が存在します。

越後国配流説: 親鸞聖人が越後国へ流罪となった際、荒れた海を渡る船中で念仏を唱えたという故事に由来するという説です。
関東巡化説: 親鸞聖人が関東地方を巡化していた際、暴風雨に見舞われた船の中で、揺れながらも念仏を唱え続けたという故事に由来するという説です。
蓮如吉崎退去説: 蓮如上人が越前国吉崎から若狭国小浜へ退去する際、船中で御正忌の法要を勤めたという故事に由来するという説です。
坂東念仏説: 関東地方から親鸞聖人の墓参りに来た僧侶たちが唱えた念仏が起源であるという説です。

これらの説の中でも、蓮如上人の吉崎退去時の船中での御正忌勤修に由来するという説がありますが、『真宗帯佩記』においては「無稽ノ説」として否定されています。

また、坂東曲は、六斎念仏の演目の一つである「坂東」（現在も奈良県に伝わっています）や、同様の急速なテンポの踊り曲との関連性も指摘されています。

西本願寺における坂東曲

『大谷本願寺通紀』によれば、かつては西本願寺でも坂東曲が行われていましたが、元禄2年（1689年）、寂如上人の時代に廃止され、代わりに八句念仏和讃が用いられるようになったとされています。

まとめ

坂東曲は、東本願寺の報恩講において、親鸞聖人を偲び、その教えを深く味わうための重要な儀式です。体を揺らしながら念仏を唱える独特な形式は、様々な起源説を持ち、その歴史的背景や宗教的意義を理解することで、より深くその魅力に触れることができるでしょう。

参考資料

* 東本願寺で坂東曲 - YouTube

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