寂如

寂如（じゃくにょ）

寂如は、江戸時代前期に活躍した浄土真宗の僧侶であり、浄土真宗本願寺派の第14世宗主として知られています。西本願寺の住職を務め、宗派の発展に大きく貢献しました。法名は光常、院号は信解院、法印大僧正という位階にありました。

生涯

寛文元年（1661年）に11歳で左大臣九条兼晴の猶子となり得度。翌寛文2年（1662年）、父である第13世良如の死去に伴い、わずか12歳で西本願寺第14世宗主の座に就きました。若くして宗主となった寂如は、寛文7年（1667年）に関白鷹司信房の娘、貞淑院如瑞を妻に迎えました。

寂如は、父である良如が成し遂げられなかった経蔵の建立や、大谷本廟の再建といった重要な事業を積極的に推進しました。特に、大谷本廟の再建の際に自ら筆を執った親鸞聖人絵像の画讃は、寂如の深い信仰心と学識を示すものとして知られています。

また、寂如は真宗大谷派との差異を明確にするため、お経の節回しに天台宗のような声明を取り入れるなど、従来のやり方を改革しました。元禄2年（1689年）には、初めて報恩講の差定を堂内に貼り出し、これまで行われてきた坂東曲を廃止して八句念仏和讃とするなど、宗派の儀式にも新たな変化をもたらしました。

寂如の子どもの多くは早世し、後継者として予定されていた10男の湛如がまだ幼かったため、第15世宗主には娘婿の住如を迎えました。

親鸞聖人絵像画讃

寂如がしたためた親鸞聖人絵像の画讃は、以下の通りです。


韜名愚禿畏人知
高徳弥彰澆季時
誰了如来興世意
直標淨典囑今師


この画讃は、親鸞聖人の教えに対する深い理解と敬意を表したものであり、寂如の信仰心の深さを物語っています。

寂如は、若くして宗主の座に就きながらも、宗派の発展に大きく貢献し、数々の事業を成し遂げました。その功績は、今日においても高く評価されています。

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