坂西志保

坂西 志保（さかにし しほ）

坂西志保は、日本における学者であり評論家として、特に外交と教育の分野で多くの業績を残しました。彼女は1896年に神奈川県で生まれ、幼少期は北海道で育ち、強い向学心を持って教育を受けました。その後、彼女はアメリカに留学し、ウィートン大学を卒業した後、ミシガン大学大学院で博士号を取得しました。

彼女のキャリアは、多岐にわたり展開されました。アメリカでの留学中には、ホリンズ大学で教鞭を取る傍ら、アメリカ議会図書館で日本文献の整理を担当しました。特に1938年には、同図書館のオリエンタル部において日本課の課長に昇進し、日本文化に関する書籍や資料の収集と編纂に尽力しました。

しかし、彼女はアメリカ海軍からスパイの疑いをかけられ、1941年の日米開戦後には収容所に拘束されることとなります。在米日本人女性として唯一、高い評価を得ていた坂西は、1942年に強制送還されました。帰国後は外務省の嘱託やNHKの論説委員を務め、日本とアメリカの関係に関する解説や分析を行いました。その活動によって「親米の危険分子」と見なされ、特別高等警察に監視されることもありました。

戦後の坂西は、GHQに勤務した後、再び教育や行政に関与し、外務省や参議院の専門委員、選挙制度審議会委員、憲法調査会委員などの重要な役職を担いました。彼女はまた、放送番組向上委員会の委員長を務めるなど、国際文化や教育の発展に貢献しました。1963年にはNHK放送文化賞を受賞し、1974年まで国家公安委員会の委員として活動を続けました。

1976年、坂西は心筋梗塞により亡くなりました。彼女の遺言により、多くの財産は文化に寄付され、彼女の名前にちなんだ「坂西文庫」が、大磯町立図書館に設立されました。

坂西志保は、その生涯を通じて教育と文化の架け橋となり、日本とアメリカの相互理解の重要性を強調する存在でした。彼女の著作も多く、特に翻訳や評論の分野での業績は、現在も多くの人々に影響を与えています。彼女の存在は、戦後日本の国際的な対話や文化交流における重要な一翼を担ったと言えるでしょう。

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