垪和氏

垪和氏の歴史

垪和氏（はがし）は、岡山県美作国の久米北条郡、現・久米郡垪和から発祥した日本の武家一族です。この一族はかつて、垪和郷を根拠に活動し、その家紋は「丸に抱き茗荷」とされています。文献上では、さまざまな表記が見られ、塀和、垪賀、羽賀、方賀、芳賀など、これらは同一の氏族を指し示すものではなく、垪和という名が難読であったため、多様な表記が用いられたと考えられています。

出自と初期の歴史

古代の垪和は「羽具部」として知られ、矢の素材を採取していた部民の居住地でした。その後、垪和の武士団としての土台を築いた一族は、代々垪和臣や賀茂臣の神官として役割を果たしていました。特に、賀茂臣兵部頭正勝は京都にて菅原道真に仕途中、道真の左遷を受けて帰郷し、宮尾氏を名乗りました。このように、地名に関わる変化が一族の名前に影響を与えたことがわかります。

治承元年（1177年）、平資行の流刑を見たのは宮尾三郎廣豊だったという記録があり、これが垪和とその周辺の歴史の重要な一場面を示しています。

鎌倉時代の活動

鎌倉時代には、足利氏から所領を管理され、垪和氏は現地での荘務代行者としての責任を担うようになります。足利氏の庇護の下、垪和氏は室町幕府の奉公衆となり、多くの重要な地位や権益を手にしました。

この時代の中で、さまざまな家族の人物が記録に見られ、垪和氏の影響力を物語っています。室町時代には、将軍の側近として名声を高め、荘園の代官などを務めました。

南北朝時代の動乱

南北朝の時代、美作国は様々な勢力に翻弄されることになります。特に、山名氏や赤松氏、尼子氏など大名家の動きが激しい中、垪和氏もその影響を受けつつ活動しました。隠岐から脱出した後醍醐帝に仕えた記録もあり、その動向が垪和氏の立ち位置を示しています。また、元弘の乱などで功績を上げ、さらなる支配を確立しようと努めていました。

室町時代の権力

室町時代には、垪和氏が奉公衆として将軍家に仕えることで得た権力を背景に、荘園代官としての地位を築きました。応永年間には、新見荘の代官を請け負うなど、その存在感を表しています。

この時期には多くの戦闘や政治的な動きがありましたが、垪和氏は有力な政治家や軍事指導者としての役割を果たし続けました。

戦国時代の衰退

戦国時代に突入すると、垪和氏は勢力を失い、周囲の大名家にその運命を大きく左右されました。特に、尼子氏の侵攻や宇喜多氏との戦闘に巻き込まれ、最終的には勢力を失うことになります。1689年の天正8年には高城を攻撃されるなど、武士団としての地位が崩壊の一途をたどるのです。

竹内氏との関係

竹内氏は垪和氏と密接な関係があり、垪和氏の武士団が没落した後も、その後の記録に登場します。竹内久盛が竹内流を開くなど、両氏は同時期に互いに影響を与え合っていました。特に竹内氏が全国的に名を馳せることとなり、名声を確立しました。

結論

垪和氏はその歴史を通じて、数多くの変遷を経てきた武士の一族であり、その名は今に語り継がれています。彼らの歴史は、日本の戦国時代やその後の政治の動向を理解する上で重要な要素となっています。

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