城原川ダム

城原川ダムについて

城原川ダム（じょうばるがわダム）は、佐賀県神埼市に建設が計画されている治水専用ダムです。このダムは一級河川である筑後川水系の城原川に建設される予定で、国土交通省九州地方整備局が関与しています。その設計は、中央土質遮水壁型ロックフィルダムで、高さは98.5メートルに達します。もともとは多目的ダムとしての計画が進められていたものの、変更を経て洪水調節に特化した治水専用ダムとしての建設が進められています。

沿革と背景

城原川は「天井川」とも呼ばれ、豪雨時には頻繁に氾濫を起こし、逆に乾燥期には水量が著しく減少するという特性があります。特に1953年には大規模な水害を引き起こし、また1994年には渇水により川の水が途絶える事態が発生しました。このような背景から、流域では人口増加に伴う水需要の逼迫が問題となっていました。

そのため、建設省（現在は国土交通省）では、城原川にダムを設置し洪水調節と河川流量の維持を目指すことを決定し、1979年からダム建設に向けての計画が始まりました。この事業は「佐賀導水事業」と関連しており、筑後川、城原川、嘉瀬川の水を効率的に融通することを目的としています。

地元での賛否

城原川ダムの建設に対しては、賛成派と反対派が存在し、地域の意見は二分されています。賛成派は、早期のダム建設を求める意見が多い一方で、地域住民や一部下流域の住民からは反対の声も上がっています。このため、地元では賛成と反対の意見が議論を呼び起こし、佐賀県全体も巻き込む形で大きな混乱を招いています。

現在、ダム建設は実施計画調査の段階にあり、計画発表からすでに25年以上が経過しても、本体の着工には至っていません。この遅れの主な要因は、住民からの反対運動にあります。建設省は代替案として堤防の嵩上げや引堤、遊水地の整備を提案し、ダム建設の必要性についての理解を求めていますが、地元の意見はさまざまです。

一方で、佐賀県は利水に関する参加を撤回しましたが、治水ダムとしての重要性は認識しており、2005年には「穴あきダム」方式も提案しました。国土交通省はこの提案を受け入れ、2006年に「筑後川水系河川整備計画」の中で城原川ダムを治水ダムとして位置づけました。

今後の展望

賛成派と反対派の間で議論が続く中で、両派はそれぞれの活動を盛んに行い、署名活動などを通じて意見を表明しています。2020年には、容認派と反対派の住民組織が合併して「城原川ダム建設対策協議会」が設立され、両方の意見を調整しようとしています。

今後もこの問題は解決を見ないまま続くと予想され、地域の水問題には継続的な関心が必要です。また、未だに本体の工事には至っていないことから、ダム事業の長期化が懸念されています。今後の展開を見守る必要があるでしょう。

もう一度検索