城東区 (東京都)

東京市城東区：激動の昭和を刻んだ区の歴史

概要

城東区は、1932年（昭和7年）から1947年（昭和22年）まで存在した、東京府東京市（後の東京都）の区です。現在の江東区の東部にあたり、皇居（江戸城）の東側に位置することからその名が付けられました。35区時代の東京市を構成する区の一つとして、独自の自治を有していました。東は荒川と旧中川、北は北十間川、西は横十間川、南は東京湾という、水に囲まれた立地が特徴です。

歴史と変遷

当初は、亀戸を中心とした寺社地域や水運関係の施設を除けば、農業が中心でした。しかし、時代とともに都心部への通勤者増加に伴い、住宅地や工場が建設され、都市化が進みました。1935年10月1日の統計では、人口18.43万人、面積10.18平方キロメートルに達するほど発展しました。

しかし、城東区の歴史は順風満帆ではありませんでした。1938年（昭和13年）9月1日には、台風と高潮による大規模な水害が発生。荒川放水路を挟んで城東区、向島、葛飾、江戸川地区が冠水し、約5万戸が浸水、25万人が孤立する甚大な被害を受けました。さらに、1945年（昭和20年）の東京大空襲でも区内全域が壊滅的な被害を受けました。

これらの災禍を乗り越えながらも、城東区は発展を続けましたが、1947年（昭和22年）3月15日、東京特別区23区への統合により、隣接する深川区と合併して江東区となりました。区役所庁舎は、江東区第二庁舎、その後江東区総合区民センターとして活用され、現在も区民センターとして利用されています。

区名の由来と経緯

興味深いことに、城東区の名称は幾度かの変更を経て決定されました。当初は「亀戸区」という案が挙がっていましたが、その後「小名木区」に変更。そして、様々な陳情や議論を経て、最終的に「城東区」に決定しました。この経緯からも、当時の人々の思いや政治的な状況が読み取れます。

交通

城東区には、国鉄（現在のJR東日本）総武線亀戸駅、東武鉄道亀戸線（亀戸駅～亀戸水神駅～北十間駅）などの鉄道が通っていました。また、東京都電車（小松川線、砂町線、葛西橋線）も運行していました。現在の江東区にある西大島駅、大島駅、東大島駅（都営地下鉄新宿線）、南砂町駅（東京メトロ東西線）、新木場駅（JR東日本京葉線、東京メトロ有楽町線、東京臨海高速鉄道りんかい線）は、当時存在していませんでした。新木場駅周辺は、城東区が存在した当時は埋め立てられていなかったためです。

まとめ

城東区は、わずか15年の短い歴史の中で、著しい発展と、大きな災害を経験しました。現在の江東区の一部として、その歴史と記憶は、地域住民の生活や文化に深く刻まれています。東京の歴史を語る上で、城東区は欠かすことのできない重要な存在です。この区の存在は、戦後の東京の再建や発展、そして現代社会への繋がりを理解する上で、重要な役割を担っていると言えるでしょう。 城東区の変遷は、激動の昭和時代の東京の姿を象徴的に示す、重要な歴史的痕跡と言えるのではないでしょうか。そして、現在の江東区の礎を築いた区として、その歴史的意義は今後も色褪せることはありません。

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