基底小体

基底小体とは

基底小体（きていしょうたい、英: basal body, basal granule）は、真核生物の波動毛、すなわち繊毛や鞭毛の基底部に存在するタンパク質構造です。キネトソーム（英: kinetosome）とも呼ばれます。

基底小体は、中心小体といくつかの付属的なタンパク質構造から形成され、本質的には中心小体に変化が加えられたものです。中心小体は微小管を中心体に固定する役割を持ち、微小管形成中心（MTOC）として知られています。基底小体は、軸糸の微小管の伸長のための核形成部位として機能します。

これらの微小管は、多くの真核細胞内で小胞や細胞小器官に構造的な足場を提供したり、移動を助けたりしています。

構造と形成

繊毛と基底小体は、細胞周期の静止期またはG1期に形成されます。細胞がG1期に移行する前、つまり繊毛が形成される前には、母中心小体が中心体の構成要素として機能します。

1つの一次繊毛しか持たない細胞では、G1期または静止期への移行に伴って母中心小体が基底小体に分化します。このような細胞では、基底小体は中心小体に由来しますが、少なくとも2つの点で母中心小体とは異なります。

1つは、基底小体にはbasal footと呼ばれる構造が存在することです。この構造は細胞質の微小管へ固定されており、繊毛の極性配置に必要です。もう1つは、基底小体には母中心小体のアペンデージ構造に由来するtransition fiberと呼ばれる風車型の構造が存在することです。

複数の繊毛を持つ細胞では、多くの場合、基底小体は中心小体から形成されるのではなく、deuterosomeと呼ばれる特別なタンパク質構造から新たに形成されます。

機能

細胞周期が静止している間、基底小体は一次繊毛を組織し、細胞膜近傍の細胞皮質に位置しています。細胞周期が進行すると、繊毛は再吸収されて基底小体は核へ移行し、そこで中心体を組織する機能を果たします。

中心体、基底小体、繊毛は、有糸分裂、細胞極性、細胞分裂、タンパク質輸送、シグナル伝達、運動性、知覚に重要な役割を果たします。

関連疾患

基底小体に局在するタンパク質の変異は、バルデー・ビードル症候群、口顔指症候群1型、ジュベール症候群、錐体桿体ジストロフィー、メッケル・グルーバー症候群、ネフロン癆を含むいくつかの線毛関連疾患と関係しています。

基底小体の形成と空間的配向の調節は、γ-チューブリンのヌクレオチド結合ドメインの機能です。

植物における基底小体

植物は中心体を欠いており、運動性の精子を持つコケ植物やシダ植物などの下等植物のみが鞭毛と基底小体を持っています。

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