堀親賢

堀親賢（ほり ちかかた）

堀親賢は、江戸時代中期に信濃飯田藩の第4代藩主を務めた人物です。堀親賢は、1684年に旗本である堀親興の長男として生まれました。1697年に先代藩主であった堀親常が後継者を残さずに亡くなったため、その養子となり、2万石の領地を相続しました。

生涯

親賢の藩主相続は、当時の有力者であった5代将軍徳川綱吉の側近、柳沢吉保の支援によるものでした。しかし、藩主となった親賢は、その治世において様々な困難に直面します。

1698年または1699年頃には、藩内で「牛之助騒動」と呼ばれる事件が発生しました。藩の用人であった牛之助が、親賢の計らいで殿中の女中と関係を持ちました。そのお礼のために牛之助が登城した際、親賢の側室が髪を結っている最中でした。その時、鏡越しに微笑み合った二人を見た親賢は、牛之助と側室が不倫関係にあると誤解し、家臣に命じて牛之助を殺害してしまいます。この事件により、牛之助の母は嘆き悲しみ、狂死したと伝えられています。

1699年には、家臣の堀宇右衛門ら50人が藩を去るという事件が起きました。この事件は、藩内の混乱を物語っています。さらに1702年には、苗木藩主の遠山友春とともに、丹羽氏音の移封に伴う岩村城の受け取り役を務めました。

1707年には、飯田で大地震（宝永地震）が発生しました。さらにその翌月には、富士山の大噴火（宝永大噴火）による地震と降灰に見舞われ、領民は大きな被害を受けました。また、1715年には「正徳のひつじ満水」と呼ばれる天竜川の大洪水が発生し、領内の田畑の約4割が失われるという壊滅的な被害を受けました。この災害により、藩財政は破綻寸前にまで追い込まれました。

このような状況下で、親賢は1715年7月に大坂御加番に任じられますが、同年11月28日に中風により32歳という若さで亡くなりました。その後、藩主の座は長男の親庸が継ぎました。

親族

実父：堀親興
実母：松雪院
養父：堀親常
正室：春台院（津軽信政の娘）
側室：貞松院（村井伊右衛門の娘）、自涼院（井上甚五左衛門の娘）
子女：堀親庸（長男、母は貞松院）、堀親蔵（次男、母は自涼院）、片桐満紀正室、有馬氏久正室

関連項目

* 菱田春草：先祖の蒔絵師である菱田市郎兵衛が、飯田藩に臨時雇用されています。


堀親賢の生涯は、藩主としての責務を果たす一方で、天災や藩内の事件に翻弄されたものでした。若くして亡くなった親賢の人生は、当時の藩主の苦悩を象徴していると言えるでしょう。

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