堀貞一

堀 貞一（ほり ていいち）

堀貞一は、文久3年1月4日（1863年2月21日）に生まれ、昭和18年（1943年）8月26日にその生涯を閉じた、日本の高名な牧師です。特に信仰復興運動（リバイバル）において顕著な活躍を見せ、多くの人々の霊的な生活に影響を与えました。

生涯

堀貞一は、丹波亀山藩の重臣であった堀卓幹・こう夫妻の長男として生を受けました。当初、京都中学に入学しますが、同志社を見学したことが彼の運命を大きく変えます。J・D・デイヴィス宅での聖書講義に触れる機会を得て、キリスト教への関心を深めました。そして、1876年12月10日、祖母と共に西京第三公会において、同志社の創設者である新島襄より洗礼を受け、キリスト教信仰に入りました。

1877年（明治10年）には同志社英学校の二年次に編入します。同志社での学びを深める傍ら、学友であった海老名弾正や金森通倫らと共に、丹波や淡路島といった各地で伝道活動に励みました。特に、1880年（明治13年）に発生した新島襄の自杖事件を目撃し、その際に受けた深い感銘から、新島が手にしていた杖の破片を拾い、生涯大切に保管したと伝えられています。

1884年（明治17年）、同志社の余科を卒業した堀貞一は、牧師としての第一歩を踏み出します。最初に赴任したのは長浜でした。翌1885年（明治18年）、長浜教会の設立に際して按手礼を受け、正式な牧師となります。その後も精力的に活動の場を移し、1888年（明治21年）には彦根教会、1889年（明治22年）には京都四条教会で牧会にあたりました。

堀貞一のキャリアにおいて特筆すべきは、1890年（明治23年）に赴任した日本組合教会第一新潟教会（現在の日本基督教団新潟教会）での出来事です。セオボールド・パームによって1886年（明治19年）に創立されたこの教会は、当時内紛を抱えていました。組合教会の伝道委員会は、この難局を収拾するため、堀貞一を牧師として派遣します。

新潟に赴任した堀は、祈りこそが教会の真の改革をもたらすと信じ、教会に連夜の祈祷会を設けました。彼の熱心な働きかけと祈りによって、次第に教会内に霊的な活力がみなぎり始め、大きな信仰復興運動（リバイバル）が起こりました。このリバイバルを通じて、約50名の人々が新たに洗礼を受けるに至ります。この時洗礼を受けた人々の中には、後に世界的な伝道者となる木村清松も含まれていました。

新潟でのリバイバルを経験した後も、堀貞一の伝道活動は続きます。1893年（明治26年）には横浜教会（紅葉坂）に、1899年（明治32年）には前橋教会に赴任しました。

日露戦争の際には、彼は軍隊慰問使として大陸に渡り、戦場の兵士たちを励ます活動に従事しました。帰国後も、日本組合教会の集中伝道講師として全国各地を巡回し、情熱的なメッセージを届けました。

伝道の場は国内にとどまりませんでした。1920年（大正9年）にはハワイに招かれ、ホノルルのヌアヌ独立教会の立て直しのため尽力しました。

1927年（昭和3年）、同志社教会創立50周年記念の特別伝道会の講師として、彼は一時帰国します。この帰国中に、大阪府豊中市の梅花専門学校で説教を行った際に、再び大規模なリバイバルが発生しました。この時、343名もの人々が洗礼を受け、同年には現在の日本基督教団梅花教会の設立へと繋がりました。さらに、松山女学校と松山教会でも52名が洗礼を受けるという実りがありました。当初は二週間でハワイに戻る予定でしたが、彼の働きはそこで終わりませんでした。

同年11月、彼は同志社大学の宗教主事（チャプレン）および同志社教会の牧師として招聘され、正式に日本へ帰国することを決意します。そして、1927年の同志社における信仰復興運動において、彼は中心的な指導者として活躍し、多くの学生や関係者に信仰の覚醒をもたらしました。

1940年（昭和15年）、彼は同志社を退職し、東京で隠遁生活を送りました。そして、1943年（昭和18年）にその生涯を閉じました。彼の遺骸は、前橋市の長昌寺と、ゆかりの深い京都府若王子にある同志社墓地に葬られました。堀貞一は、生涯をキリスト教の伝道と信仰復興に捧げ、特にリバイバル運動において多大な貢献をした日本の重要な牧師の一人として、その名が記憶されています。

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