堤精二

堤精二：近世文学研究の第一人者

堤精二(1927年2月27日-2017年11月7日)は、日本の国文学を代表する学者の一人です。専門は日本近世文学、特に井原西鶴の作品研究で高い評価を得ました。お茶の水女子大学名誉教授を務め、数多くの優れた研究業績を残しています。

教育とキャリア

堤精二は東京市小石川区（現在の東京都文京区）に生まれました。東京都立上野高等学校、信州大学（旧松本高等学校）を経て、1952年に東京大学文学部国語国文学科を卒業します。大学卒業後は東京大学文学部助手として勤務した後、1956年に東京お茶の水女子大学文教育学部専任講師に就任。その後、助教授、教授と昇進し、1992年に停年退官、名誉教授となりました。さらに放送大学教授も務め、1997年に退職しています。

信州大学時代は蹴球に熱中し、1年間の留年を経験したという逸話も残されています。大学時代の体育教師から、当時としては最高の97点という高評価を得たというエピソードは、彼の真面目さと才能を垣間見せるものです。

研究と業績

堤精二の研究は、主に近世文学、とりわけ井原西鶴の作品に焦点を当てています。西鶴の作品を深く掘り下げ、その文学的価値を明らかにする数多くの論文や著作を発表しました。代表的な著書として、『西鶴集 上』（日本古典文学大系、岩波書店）、『西鶴 上・下』（講座日本文学、至文堂）、『日本永代蔵』（明治書院）などが挙げられます。これらの著作は、西鶴研究における重要な参考文献として、現在も高く評価されています。

また、編著として『国書総目録』（岩波書店）、『日本文学全史 近世』（学燈社）、『近世日本文学』（放送大学教育振興会）、『国文学入門』（放送大学教育振興会）など、多くの学術書を世に送り出しました。これらは、日本の文学史や国文学研究に大きく貢献するものでした。

人物像

北杜夫の小説『どくとるマンボウ青春記』には、二人の「T」が登場しますが、その一人が堤精二です。小説の中でどのような人物像として描かれているかは興味深いところです。このエピソードは、堤精二が当時の文壇で活躍していたことを示しており、学界のみならず広く文化人に知られていたことを物語っています。

受賞と栄誉

堤精二の学問への貢献は高く評価され、2006年には瑞宝中綬章を受章しています。これは、彼の長年の研究活動と教育活動への功績を称えるものです。

結論

堤精二は、卓越した研究者であり教育者でした。彼の業績は、日本の近世文学研究に大きな足跡を残し、多くの後進の研究者たちに影響を与え続けています。その学問への情熱と誠実さは、これからも多くの人々に敬意と記憶されるでしょう。

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