塩冶貞清

塩冶貞清（えんや さだきよ）は、生年不詳ながら正中3年（1326年）に没した、鎌倉時代後期の武将です。雲州源氏の一族であり、塩冶頼泰の子として生まれました。通称は孫二郎、佐々木貞清とも呼ばれ、近江判官、塩冶判官といった呼称も伝えられています。

生涯

貞清は、鎌倉幕府第9代執権である北条貞時が、北条氏得宗家当主であった期間（1284年-1311年）に元服したと推測されています。その際、貞時と烏帽子親子関係を結び、偏諱（へんき）として「貞」の字を授かりました。これは、貞清が北条氏との深い繋がりを持っていたことを示唆しています。

父・頼泰から出雲守護の地位を受け継ぎ、左衛門尉、検非違使、そして近江守（近江判官）にも任ぜられました。また、従五位下に叙任されており、朝廷からも一定の評価を得ていたことが伺えます。

正和3年（1314年）には、祖父・佐々木泰清が建立した鰐淵寺の三重多宝塔の修復を、父・塩冶頼泰が途中まで行っていたものの未完成であったため、その完成を発願しました。これは、貞清が寺社に対する篤い信仰心を持っていたこと、そして一族の遺志を継承する責任感を持っていたことを示しています。

また、貞清は守護としての活動も行っており、正中2年（1325年）には鰐淵寺内への守護使の立ち入りを停止させています。さらに、翌年には杵築大社頭役の勤務状況を六波羅に報告するなど、地域社会の秩序維持にも尽力していました。

正中3年3月28日に死去し、跡は嫡男の高貞が継ぎました。貞清には、高貞の他に、時綱、貞泰の3人の息子がいたことが知られています。また、系図によっては、寂阿、宗貞、宗泰、泰綱、高顕といった子息もいたとされています。

補足

塩冶貞清は、出雲地方において重要な役割を果たした武将であり、その活動は地域の歴史に深く刻まれています。北条氏との繋がり、寺社の保護、そして地域社会の安定に尽力したその生涯は、中世武士の姿を現代に伝えています。

参考文献

今井尭ほか編『日本史総覧』 3（中世 2）、児玉幸多・小西四郎・竹内理三監修、新人物往来社、1984年3月。
西ヶ谷恭弘 編『国別 守護・戦国大名事典』東京堂出版、1998年。
安田元久 編『鎌倉・室町人名事典』（コンパクト）新人物往来社、1990年9月。

外部リンク

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