塩冶頼泰

塩冶頼泰（えんや よりやす）

塩冶頼泰は、鎌倉幕府の御家人であり、出雲守護を務めた人物です。出雲塩冶氏の祖として知られています。

生涯

頼泰の生誕年は不明ですが、鎌倉幕府第5代執権である北条時頼が執権を務めていた期間（1246年-1263年）に元服したと考えられています。この時、時頼と烏帽子親子関係を結び、時頼から偏諱である「頼」の字を与えられたとされています。これにより、頼泰は北条氏との関係を深めました。

頼泰の出自は、近江源氏の嫡流である佐々木秀義の五男、義清に遡ります。義清は、承久3年（1221年）の承久の乱で武家方として戦い、その功績により出雲・隠岐2国の守護に任じられました。その後、義清の系統が両国の守護職を世襲しました。

頼泰は、義清の孫にあたり、兄・時清の系統が隠岐国守護を継承する一方で、出雲国神門郡塩冶郷に大廻城を築き、ここを本拠地としました。そして、地名から塩冶左衛門尉を称し、これが塩冶氏の始まりとなりました。この時期は弘安年間（1278年-1287年）頃とされており、父・泰清から出雲守護職を継承したのは弘安元年（1278年）とされています。

弘安6年（1283年）には、鰐淵寺の衆徒に対して、亡き父・泰清の遺志を継ぎ、鰐淵寺三重塔婆の造営のために30貫文と銀塔一基を寄進し、引き続きの協力を要請しています。

弘安7年（1284年）の段階でも頼泰が出雲守護を務めており、この年の9月には、二月騒動で謀反を起こした北条時輔の遺児の諸所巡回に対する用心を促す関東御教書を鰐淵寺に施行しています。

弘安11年（1288年）9月には、塩冶郷内大津村の田地一町を杵築大社神田に寄進しました。また、頼泰は、領内にある塩冶神社に、自らが武勇を尊ぶ趣旨から誉田別命を勧請しました。これにより、同神社は「塩冶八幡」とも呼ばれるようになったと伝えられています。

頼泰の子、貞清の系統は、その後鎌倉時代を通じて出雲守護職を相伝しました。これにより、塩冶氏は出雲国における重要な武士団としての地位を確立しました。

脚注

注釈:

塩冶頼泰の出自や事績については、複数の史料で確認されています。

出典:

今井尭ほか編『日本史総覧』 3（中世 2）
西ヶ谷恭弘 編『国別 守護・戦国大名事典』
安田元久 編『鎌倉・室町人名事典』（コンパクト）

外部リンク

塩治家のご紹介
鹽冶神社
大廻城 - ウェイバックマシン
塩冶氏と大廻城・塩冶神社
* 武家家伝_塩冶氏


塩冶頼泰は、鎌倉時代における出雲国の守護として、その後の歴史に大きな影響を与えた人物です。その事績は、鎌倉幕府の地方支配の一側面を理解する上で重要な役割を果たしています。

もう一度検索