塩素化パラフィン

塩素化パラフィンについての詳解

塩素化パラフィン（Chlorinated paraffins）は、塩素が結合した有機化合物で、主にアルカンを原料とします。この化合物は、炭素数によって分類され、隣接する短鎖塩素化パラフィン（SCCPs、10〜13の炭素数）と中鎖塩素化パラフィン（MCCPs、14〜17の炭素数）に分けられます。これらは多用途で知られ、さまざまな産業で広く利用されています。

用途と特性

塩素化パラフィンは、優れた難燃性、疎水性、可塑性、および絶縁性を特徴とするため、工業製品や建材に冬用の保護材として使われることが多いです。また、その特性を活かし、ポリ塩化ビニル（PVC）の可塑剤や潤滑油の添加剤、さらには難燃剤として幅広く利用されてきました。それに加えて金属加工用の切削油としても使用されましたが、環境への影響が懸念されるため、2007年以降は日本での金属加工における使用が停止されています。

主なメーカーと生産

日本国内では、味の素ファインテクノの「エンパラ」や東ソーの「トヨパラックス」などの製品が存在しましたが、トヨパラックスは2021年に生産を終了し、エンパラも販売を終了することが発表されました。国際的には、Dover ChemicalやINOVYN（イネオス）などが製造・販売を手掛けており、特に中国がこの化合物の最大の生産国であり、2008年には約45万トンの生産が報告されています。

環境への影響

塩素化パラフィンには、高い毒性、難分解性、生物濃縮性があり、アメリカでは有害化学物質の排出に関する報告義務があります。欧州連合では1999年のリスク評価に基づき、2004年から金属加工や皮革産業での使用を禁止しており、日本でも化学物質の監視が強化されています。具体的には、2005年に化審法に基づき、第一種監視化学物質に指定され、その後、国際的なストックホルム条約の枠組みの中で規制が進められています。

特に、炭素数12で塩素化率60％の塩素化パラフィンは、人に対する発がん性が疑われると評価されています。さらに、2017年にはSCCPsの塩素含有量が48％を超えるものが廃絶対象として位置づけられ、日本でも2018年からは第一種特定化学物質として指定されました。

また、EUにおいても、MCCPsの規制に向けた検討が行われており、2021年までに附属書IIへの追加が推奨されています。2025年までには、MCCPsとして定義される物質が廃絶対象として定められる見込みです。これにより、締約国において法的な規制が進められている現状があります。

結論

塩素化パラフィンは、その多様な特性により多くの分野で使用されていますが、環境への深刻な影響により、各国で規制が強化されています。特に日本を含む多くの国では、安全性を考慮してその使用を見直す動きが続いています。このような背景を踏まえ、より安全で環境に配慮した代替品の開発が求められる時代となっています。

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