塩飽諸島

塩飽諸島（しわくしょとう）

塩飽諸島は、瀬戸内海の中央部に位置する島嶼群で、香川県に属しています。小豆島や笠岡諸島とともに備讃諸島の一部を形成し、岡山県と香川県に挟まれた西備讃瀬戸に点在する大小28の島々から成り立っています。その名の由来は、「塩を焼く」または「潮が湧く」といった説があります。

歴史

古代から近世

塩飽諸島は、古くから海流の速い備讃瀬戸海峡に位置していたため、島民は海上交通や交易で生計を立てていました。源平合戦や足利尊氏の再上洛、倭寇などの歴史的な出来事にも関わっていたとされています。また、法然が流刑の途中で一時滞在したという記録も残っています。

鎌倉時代には、海賊が活動していた時期もありましたが、藤原家資によって鎮圧され、その後は宮本氏が統治しました。16世紀には、島の船乗りたちが塩飽水軍として名を馳せ、瀬戸内海にとどまらず、遠方までその名が知れ渡りました。戦国時代には、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康といった権力者たちからも高く評価され、物資の輸送や高官の移動に貢献しました。

江戸時代

豊臣秀吉は、1590年に朱印状を発行し、塩飽諸島の住民を御用船方として制度化しました。これにより、島民は石高1250石の領有を認められる一方、公儀の海上輸送義務を負うことになりました。この制度は江戸時代にも維持され、17世紀初頭には一種の自治権が与えられました。

塩飽諸島は天領として大坂町奉行直属となり、年寄、年番、庄屋、組頭などの役職を置いて自治が行われました。特に、年寄は島の最高職として、奉行所との連絡役を担いました。また、塩飽の船は、西廻海運の確立とともにその運航を担い、新井白石は「塩飽の船は特に優れている」と評価しました。

この頃、金毘羅大権現の旗を掲げて廻船したことから、金毘羅大権現が航海の神として知られるようになったという説もあります。また、漁場を巡って高松藩と争ったこともあります。

廻船業は元禄期に最盛期を迎えましたが、その後衰退し、18世紀には造船業に転換しました。塩飽の造船技術は当時最高レベルであり、一部の職人は建築にも携わり、寺社や家屋の建築にも貢献しました。しかし、島内での生活は厳しく、多くの若者が他国に出稼ぎに出るようになりました。

幕末

幕末には、咸臨丸の太平洋横断に塩飽の島民が多数参加しました。また、人名株を巡る争いも発生し、島内で激しい衝突が起こりました。

明治以降

明治時代

明治維新後、塩飽諸島は倉敷県に属し、人名制度は廃止されました。しかし、人名の子孫は地主や漁業権者としての特権を保持し、海運業で財を成す者も現れました。また、塩飽大工の一部は神戸で西洋家具の製造に携わるようになりました。戦後は漁業が主な産業となりましたが、与島や小与島では花崗岩の採石も盛んでした。

瀬戸大橋開通後

1988年に瀬戸大橋が開通すると、与島にパーキングエリアや観光商業施設「フィッシャーマンズワーフ」が建設され、観光客で賑わいました。しかし、ブームが過ぎると客足が減少し、商業施設は閉鎖されました。また、小与島に建設されたリゾートホテルも閉鎖され、売却されるなど、観光業は期待されたほどの発展は見られませんでした。

各島の概要

各島の面積や人口については、海上保安庁の「しまっぷ」や「さぬき瀬戸しまネッ島」などの資料を参照ください。島の記載順は、原則として東から西へとしていますが、自治体内や航路で繋がったまとまりを単位としています。

その他

塩飽諸島に関する詳細な情報は、参考文献に挙げた書籍や、関連するウェブサイトなどを参照してください。

注釈

脚注

参考文献

村上重良『日本の宗教』岩波書店、1981年3月。ISBN 4005000274

関連項目

塩飽お舟唄

もう一度検索