増淵辰子

増淵辰子（ますぶち たつこ）

増淵辰子は、明治37年（1904年）11月10日に東京で生まれ、平成5年（1993年）1月3日に没した囲碁棋士です。本因坊秀哉の門下であり、日本棋院に所属、八段の段位を持ちました。本名は「たつ」。

経歴

品川で生まれた増淵辰子は、12歳頃に囲碁を覚え、本因坊秀元に学びました。その後、本因坊秀哉の門下に入り、小岸壮二に師事。大正11年（1922年）に入段を果たします。若手棋士の研究会である六華会にも参加し、腕を磨きました。

その後、昭和5年（1930年）に三段に昇段。この頃から、坂田栄男らを内弟子として育てました。昭和19年（1944年）には四段に昇段。昭和21年（1946年）の日本棋院精鋭十人抜戦で活躍しました。

昭和28年（1953年）に現役を引退し、五段となります。引退後、昭和29年（1954年）には、女流棋士として初めて囲碁使節としてアメリカに渡り、囲碁の普及に努めました。その後も、昭和39年（1964年）に北アメリカへ、昭和40年（1965年）には訪欧アマ女流使節団長としてヨーロッパへ、昭和57年（1982年）には再びアメリカへと、積極的に海外での囲碁普及活動を行いました。昭和29年（1954年）に六段に昇段しています。

昭和55年（1980年）には、長年の功績が認められ、勲五等宝冠章を受章しました。平成3年（1991年）の女流囲碁まつりでは、増淵の米寿を祝う会が催され、七段を贈られました。平成4年（1992年）11月に世田谷の玉川病院に入院し、翌年亡くなりました。追贈として八段が贈られています。

増淵辰子は、その姉御肌な性格で、棋士だけでなく編集者やライターなどからも慕われていました。生涯独身であり、養女が一人います。門下には、塚越常康、土屋半七（本因坊秀元の孫）、坂田栄男、白鳥澄子、大窪一玄、川本昇、久保本登美子などがいます。

受章歴

1977年 大倉賞

参考文献

坂田栄男『囲碁百年 3 実力主義の時代』平凡社 1969年
『棋道』1993年3月号 日本棋院
『囲碁年鑑 平成5年版』日本棋院 1993年

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