増福寺 (瑞浪市)

瑞浪市に佇む古刹、増福寺

増福寺は、岐阜県瑞浪市日吉町南垣外に位置する曹洞宗の寺院です。妙理山を山号とし、静かで落ち着いた雰囲気が漂います。

歴史

開基と宗派の変遷

増福寺の起源は、天文年間（1532年～1555年）に酒波神社の奥の院として存在した真言宗の寺院に遡ります。しかし、詳細な記録は残っていません。

慶長5年(1600年)に、尾張藩士の千村助右衛門重次が檀家となり、三河国（現在の愛知県）の永澤寺の玄室芳頓を招いて、曹洞宗の寺院として開山しました。

本末制度と開元院

寛文元年（1661年）、幕府による本末制度施行に先立ち、末寺帳の作成が必要となりました。当初は永澤寺を本寺とする予定でしたが、千村助右衛門重次が近隣の開元院との交渉を重ね、寛文2年（1662年）に開元院を本寺とすることに決定しました。

この際、開元院の領外秀存を勧請開山として迎え、雄堂殊英が中興し再建されました。

増福寺の成立

寛文4年（1664年）、千村助右衛門重次の没後、二代目の千村助右衛門重伯（道止）によって、寺号を増福寺と改め、千村家の菩提寺となりました。

境内

妙理の宝珠

増福寺には、「妙理の宝珠」と呼ばれる寺宝があります。この珠は、境内の池の中から発見され、微温を発する不思議な霊力を持つと伝えられています。この珠が山号の由来となったとされています。

七福神の石像

山門の前には、七福神の石像が並び、訪れる人々を温かく迎えてくれます。

観音堂

観音堂には、十一面観音や十王像など、古い仏像が安置されています。

西国・四国・秩父・坂東霊場順拝記念碑

享保年間（1716年～1736年）に建立された笠塔婆で、西国三十三所、四国八十八箇所、秩父札所三十四観音霊場、坂東三十三観音を巡礼した人々の記念碑です。碑には巡礼者の名前が刻まれていますが、摩耗のため判読は困難です。

三十三所観音

増福寺の入口右手には、安永7年(1778年)に造立された三十三所観音と、天明5年(1785年)に造立された阿弥陀如来石像が並んでいます。この阿弥陀如来像は、光背型の立像で、願主として6人の名前が刻まれています。

廻国塔

正徳4年(1714年)に建立された廻国塔は、日本全国を巡って供養を行った人々を記念する塔です。塔には、巡礼者たちの名前と日付が刻まれています。

庚申石祠

増福寺の入口にある横穴古墳内には、寛政11年（1799年）に造立された庚申石祠があります。これは瑞浪市内で唯一の庚申石祠です。

コシキ地蔵

境内にはコシキ地蔵と呼ばれる小さな石地蔵があり、周辺の摩崖仏や地蔵尊とともに、線刻仏として知られています。

馬頭観音石像

安永8年(1779年)に造立された馬頭観音像は、立姿で一面二臂の姿をしています。

灯篭

境内には、元禄9年(1696年)と嘉永2年(1849年)に造立された灯篭が残っています。

増福寺由緒書

増福寺の由緒を記した古文書によると、寺の開闢は不明で、かつては様々な宗派の僧が住んでいたとされます。慶長5年以降に曹洞宗の寺院となり、寛文2年に開元院の末寺となりました。元禄元年に開山を迎え、以降三代に渡って大源派の寺として歴史を刻んでいます。

鐘の由来

増福寺の鐘は、「鐘山来記」によると、二世英和尚の時代に鋳造されましたが、その後失われ、長らく鐘のない状態でした。近年、檀家たちの協力によって再鋳造され、現在に至っています。鐘には、「昼夜三通、各三十六下、摠一百八下」という規則が定められ、人々に無常を悟らせ、菩提心を発させる役割を担っています。

関連情報

増福寺は、瑞浪市観光協会によって紹介されています。

参考文献

増福寺の歴史は、以下の文献に詳しく記述されています。

『瑞浪市史　歴史編』
『ふるさとの歴史 : 郷土学習のための各町概史 (瑞浪市郷土史シリーズ ; その1)』
* 『土岐市史 1 (原始時代-関ケ原合戦)』

増福寺は、その長い歴史の中で、地域の人々の信仰を集めてきました。境内には、数多くの文化財が残されており、訪れる人々に歴史と文化を感じさせてくれます。

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