売布神社 (宝塚市)

売布神社：歴史と文化が息づく宝塚の神社

兵庫県宝塚市売布山手町に位置する売布神社は、長い歴史と豊かな文化を誇る神社です。式内社であり、かつては郷社として崇敬を集めてきました。その歴史は古く、推古天皇の時代まで遡ると伝えられています。

祭神と由緒

主祭神は下照姫神（高比売神）で、配祀神として天稚彦神が祀られています。しかし、この地の歴史を紐解くと、本来の祭神は物部氏一族の若湯坐連の祖である意富売布連であったと推測されています。一帯はかつて物部氏一族の拠点であり、彼らの信仰が深く根付いていたことが伺えます。

下照姫神に関する伝承も興味深いです。里人が飢餓と寒さで苦しんでいた際に、下照姫神が稲作や麻の栽培、布織りの技術を授けたと伝えられています。この伝承は、米谷村という地名にも反映されており、その由来は「米種」または「売布谷」の転訛ではないかと考えられています。

平安時代の延喜式神名帳にも小社として記載されていることから、古くからその存在が知られていたことが分かります。中世以降は、貴布禰神社や貴布禰明神（貴船大明神）といった名称で呼ばれることもありましたが、元文元年（1736年）、寺社奉行大岡忠相による地誌編纂の際に、並河誠所の調査によって式内社の売布神社に比定され、現在の名称に落ち着いたのです。明治6年（1873年）には郷社に列格しています。

境内と文化財

境内の建物は、文化13年（1816年）に再建された桧皮葺の流造の本殿をはじめ、拝殿、市杵島社（祭神：市杵島比売命）、稲荷社、豊玉神社（祭神：豊玉姫）、神武天皇陵遥拝所、社務所、地車庫などから構成されています。本殿は阪神・淡路大震災で被災しましたが、その後修復されました。

また、売布神社には宝塚市指定の文化財も数多く存在します。売布神社社号標石（附：文書2冊）は、元文元年（1736年）に建立されたもので、歴史的価値が高いとされています。さらに、売布神社社叢も宝塚市指定天然記念物に指定されており、豊かな自然環境が守られています。

だんじり祭

10月18日と19日には、八坂神社（宝塚市清荒神）と共催で、盛大なだんじり祭が開催されます。米谷東（売布、米谷）と米谷西（清荒神）の2基の地車が宮入りする、地域をあげての一大イベントです。

アクセス

売布神社へのアクセスは、阪急宝塚本線売布神社駅から徒歩5分と便利です。宝塚市内観光の際に立ち寄るのも良いでしょう。

まとめ

売布神社は、歴史、文化、自然が融合した、魅力あふれる神社です。宝塚を訪れた際は、ぜひ足を運んで、その歴史と静寂に触れてみてください。

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