変形性膝関節症

変形性膝関節症 (Osteoarthritis)について

概要

変形性膝関節症は、加齢、肥満、筋力低下などが原因で膝関節の機能が低下し、軟骨や半月板が劣化していく病気です。日本国内では約700万人が罹患しており、多くの患者が痛みや不便さを抱えながら生活しています。この疾患は、膝のクッション役を担う軟骨や半月板が年月と共にすり減ることで発生し、初期には主に膝軟骨が障害を受けますが、病気が進行すると関節の痛みや水が溜まる症状が現れます。

症状

初期の症状として多いのは、階段の昇降時や歩行開始時の痛みであり、正座やしゃがむ動作が辛くなることが一般的です。進行すると、朝起きた際の膝のこわばりや関節の炎症にともなう過剰な関節液の滞留（「水がたまる」と表現される）がみられます。さらに進行すると、大腿骨と脛骨が直接摩擦し、激しい痛みを引き起こし、最終的には歩行困難に至るケースもあります。特に40歳以上の男女の60%がこの病気の影響を受けるというデータも存在し、女性は男性に対して発症リスクが1.5-2倍高いことが知られています。

診断

変形性膝関節症の診断には、問診、視診、触診、X線検査、血液検査などが用いられます。特に、X線検査は膝の骨の形状や状態を確認するために重要です。また、関節液の検査も行われ、黄色味を帯びた変形性膝関節症では、関節炎の状態を示す重要な指標となります。MRIを用いた詳しい検査も行われ、精密な診断に寄与しています。

治療方法

治療には保存療法と手術療法があります。保存療法では、薬物療法、装具、リハビリテーションなどが行われ、効果がない場合には手術が考慮されます。膝への負担を軽減するために、適度な運動、バランスの取れた食事、体重管理が推奨されており、これによって病状の進行を遅らせる効果が見込まれます。

手術療法には関節鏡を用いた手術や人工膝関節置換術、骨切り術があり、患者の状態に応じて選ばれます。また、ヒアルロン酸の注射も一つの治療方法として用いられます。

発症要因

変形性膝関節症の発症は、主に一次性と二次性に分かれます。一次性は加齢や体重に起因し、特に女性の閉経後のエストロゲン減少が影響することが指摘されています。肥満による体重増加は膝への負担を大きくし、リスクを増加させる要因として重要です。二次性は関節リウマチや外傷が原因となることが多く、特に前十字靭帯を断裂した患者は、将来的なリスクが高まると示されています。

結論

変形性膝関節症は、生活の質に大きく影響を及ぼす病気です。早期に症状に気づき、適切な診断と治療を受けることが重要です。患者自身が生活習慣を見直し、運動と食事の管理を行うことで、病気の進行を遅らせることができるかもしれません。

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