夏の嵐 (1989年のテレビドラマ)

夏の嵐

『夏の嵐』は、1989年に東海テレビと泉放送制作が共同制作した昼ドラマです。1989年7月3日から10月6日まで、月曜日から金曜日の午後1時30分に放送されました。全70話で、ヴィスコンティ監督の同名映画とは内容が異なります。

概要

このドラマは、昭和初期から戦後まもなくの激動の時代を背景に、華族の令嬢と父の仇を憎む青年の、愛と憎しみが交錯する激しい物語を描いています。高木美保と渡辺裕之が主演を務め、その二人の息の合った演技は「ゴールデンコンビ」と称され、大きな話題を呼びました。また、このドラマ以降、東海テレビの昼ドラはすべてステレオ放送となりました。

あらすじ

物語は、城北大学剣道部の主将である結城一馬の父が、男爵で海軍中将の南部雅春の身代わりとなり殉職したことから始まります。父の死をきっかけに、一馬は南部家と南部雅春に深い恨みを抱いて成長します。苦労の末に大学へ進学した一馬は、剣道部の親友で後輩の氏家直弥と日々稽古に励んでいました。そんな中、氏家の婚約者として南部男爵の娘・峰子が現れます。

南部家を憎む一馬と、男爵家を誇りに思う峰子は激しく対立しますが、ある日、暴漢に襲われた峰子を一馬が救ったことから、二人の距離は急速に縮まります。氏家が出征し不在となる中、激しく惹かれ合う二人ですが、憎しみ合うこともやめられません。そして時代は、第二次世界大戦へと向かっていきます。

東京大空襲の夜、一馬が峰子を爆撃から守っていた時、一馬の母が空襲で命を落としてしまいます。絶望した一馬は、父に続き母までも南部のせいで失ったと、峰子の愛を拒絶します。その頃、氏家が一時帰還し、峰子は氏家の妻として生きる決意をしますが、仮祝言の当日に氏家が再び出征してしまいます。工学部の学生として徴兵を免れていた一馬も、自ら志願して海軍に入隊します。

戦況は悪化の一途をたどり、氏家は沖縄戦線で戦死します。一馬もまた、特攻隊員として出撃することになります。出撃の前日、峰子は喪服姿で、高知にある基地へ急行し、二人はついに結ばれます。翌朝、一馬の出撃を見送った峰子は、絶望のあまり海に入水自殺を図りますが、一馬の形見のマフラーが目印となり漁師に救助されます。峰子は、亡き一馬の妻として生きる決意をします。

終戦後、日本の敗戦という現実に、多くの若き軍人が自決を選ぶ中、忠彦も自殺を図りますが、峰子によって阻止されます。その後、東京裁判が始まり、南部家にも束の間の平和が訪れます。しかし、前途を悲観し世を拗ねていた忠彦が帰宅し、酔った勢いで父を激しく非難し、南部家を去ります。

キャスト

南部峰子：高木美保
男爵・南部雅春の養女。男爵令嬢としての誇りを持つ一方、愛に揺れる。
結城一馬：渡辺裕之
剣道部主将。父の仇である南部家を憎みながらも峰子を愛してしまう。
南部忠彦：長塚京三
雅春の長男。妹の峰子を密かに愛している。軍人としての誇りを強く持つ。
南部雅春：石濱朗
男爵・海軍中将。一馬の父の死を悔やんでいる。責任を果たすため生き残る。
南部まゆ：赤座美代子
雅春の後妻。峰子の母親。
氏家直弥：辰巳琢郎
峰子の婚約者で、一馬の剣道部の後輩。戦死する。
自然和尚：今福将雄
結城家の菩提寺の住職。一馬と峰子の理解者。
木村真理子：和久井映見
結城家の隣家の少女。一馬を慕う。
結城花土：野口ふみえ
一馬の母。南部家への恨みを持つ一馬を心配する。
結城善平：堀田真三
一馬の父。剣道家。南部家襲撃事件で殉職。
ぬい：町田博子
南部家の召使い。
鏑木典子：吉川十和子
忠彦を愛する女性。華族制度崩壊後に態度を変える。
黒岩猛：石丸謙二郎
元南部家の召使い。野望家。
キャサリン洋子→結城真弓：芦川よしみ
一馬と再婚する女性。街娼から足を洗う。
中原：大杉漣
黒岩の部下。
川上警部：蔵一彦
一馬の上司。
三原課長：中丸新将
川上警部の上司。一馬と対立する。
山口：出光元
忠彦の部下。悪事の実行部隊。
田沼支店長：伊藤正博
銀行の支店長。
進駐軍通訳：大林丈史
GHQの通訳。
下山政務次官：黒部進
忠彦と裏で繋がる。

スタッフ

原作:下飯坂菊馬
企画:出原弘之(東海テレビ放送)
脚本:下飯坂菊馬、高山由紀子、福原真之、林誠人、鶴島光重
音楽:奥慶一
テーマ音楽演奏:G-クレフ
技術協力:バスク
スタジオ:国際放映ビデオスタジオ（現：TMC-1）
プロデューサー:福田真治、平野一夫
演出:福田真治、花堂純次、福田誠
制作:東海テレビ放送、泉放送制作

テーマ曲

「“夏の嵐”のテーマ（THEME from THE SUMMER STORM）」
演奏：G-クレフ
レーベル：CBS/SONY RECORDS

再放送

2022年10月7日から、BS松竹東急で再放送されました。

その他

このドラマは、戦争という時代の波に翻弄されながらも、愛を貫こうとする人々の姿を描いた、感動的な作品です。豪華なキャストと、壮大なストーリー展開で、視聴者の心を掴みました。特に高木美保と渡辺裕之の演技は高く評価され、昼ドラの歴史に残る作品として語り継がれています。

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