夏子ダム

夏子ダムについて

夏子ダム（なつごダム）は、徳島県美馬市脇町の曾江谷川に建設された一級水系吉野川水系のダムです。これは水不足に苦しむ地域の農業用水を確保するための重要なインフラとして、長い歴史を持ちます。特にこの地域は水源が限られており、旱魃の際には農業が大きな影響を受けてきました。

沿革

江戸時代から徳島県吉野川北岸地域は水源が乏しく、農地の灌漑が困難でした。1874年、豊岡茘敦は「疎鑿迂言」を著し、灌漑促進に向けた提案を行いましたが、具体的なアクションは取られませんでした。戦後、農地面積が拡大する中で用水の整備が急務となり、特に1956年の渇水では地域に深刻な水不足が発生しました。

これを受けて徳島県は1964年に宮川内ダムを建設、その後、曾江谷川でも同様のダム建設が求められました。そして1979年、夏子ダムの建設が始まったのです。

ダムの概要

夏子ダムは堤高43.8mの重力式コンクリートダムとして設計され、1994年に完成しました。このダムの主な目的は、曾江谷川沿岸の農地に安定した農業用水を供給することで、草木が豊かな農作物を育成することに寄与しています。1990年には農林水産省による「国営吉野川北岸農業水利事業」が計画され、これは後に夏子ダムとともにこの地域の農業用水の確保に大きく貢献することになりました。

吉野川北岸の慢性的な水不足は、これらの灌漑施設の整備によって大幅に緩和され、地域の農業活動が活性化しました。

観光スポットとしての夏子ダム

夏子ダムは、その美しい湖と周囲の自然景観から観光スポットとしても訪れる人々に親しまれています。ダムの右岸には国道193号が通っており、ここには「夏子ダム休憩所」があります。ここでは1階には市場、2階にはレストランがあり、地元の新鮮な野菜などを購入することができます。特に休日には多くのドライバーが休憩に立ち寄っています。

ダムの周囲には清水温泉センターや、うだつで知られる脇町の町並みがあり、観光客にとって魅力的です。また、国道193号を北上すれば塩江温泉や高松空港へ行くことができます。そして、国道377号を経由することで、四国八十八箇所霊場巡礼の一つである大窪寺も訪れることができ、年中白装束の巡礼者を見かける光景が広がります。

ダムへのアクセスは徳島自動車道・脇町インターチェンジを利用し、国道193号を北上することでスムーズに到着できます。自然の中でリフレッシュするための絶好のスポットと言えるでしょう。

夏子ダムは、単なる水利施設にとどまらず、地域の歴史や文化、観光とも深く結びついている重要な存在です。

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