外務省研修所

外務省研修所の概要

外務省研修所は、外務省の施設等機関として、外務省職員の研修を専門に行う機関です。外務省設置法に基づき、職員の職務遂行に必要な訓練を提供することを目的としています。研修所は、外務公務員法で定められた職員の権利として、研修を受ける機会を保障しています。また、外務職員研修に関する省令では、研修の目的を知識、能力、教養の向上と規定しており、職員は適切な時期に研修を受けることが義務付けられています。

研修所の組織と人員

研修所には、所長、副所長のほか、総括指導官、指導官、副指導官、研究主事、教務主事、事務主事などが配置されています。必要に応じて、非常勤の顧問も置かれることがあります。これらの職員が協力して、研修プログラムの作成や実施、研修生の指導にあたっています。

研修内容

研修は、職員の階層や職務に応じて、第1部から第6部までの区分に分かれています。

第1部: 課長相当職以上の幹部職員を対象とした研修
第2部: 新規採用の国家公務員総合職試験合格者およびそれに準ずる者を対象とした研修
第3部: 新規採用の専門職員試験合格者およびそれに準ずる者を対象とした研修
第4部: 新規採用の国家公務員一般職試験合格者およびそれに準ずる者を対象とした研修
第5部: 外務省に併任されている他行政機関の職員で、在外公館勤務予定者を対象とした研修
第6部: その他の外務省職員を対象とした研修

これらの研修を通じて、外務省職員は、外交に関する専門知識や語学力、国際情勢に関する理解を深め、外交官としての資質向上を目指します。

歴史

外務省における人材育成は、当初、海外留学制度が中心でした。しかし、国際情勢の緊迫化に伴い、1941年に「外務省職員訓練所」が設置され、総合的な研修機関としての役割を担うようになりました。その後、1943年には「外務省語学校」も開設されましたが、これらは官制上の根拠を持たないものでした。

1946年に外務省官制が改正され、「外務省官吏研修所」が正式に規定され、1949年に外務省設置法の制定に伴い、「外務省研修所」へと改称されました。研修所は、1946年から東京都文京区に置かれていましたが、1994年に現在の神奈川県相模原市に移転しました。

地域貢献と市民交流

研修所は、外務省職員の育成だけでなく、地域社会への貢献も重視しています。2002年からは、相模原市教育委員会と共催で、市民向けの公開講座を開講しています。この講座では、研修所長などが講師を務め、外交に関する講演会を開催し、市民との交流を深めています。この活動を通じて、外交への理解促進と、地域社会との連携強化を目指しています。

参考文献

片山和之『歴史秘話外務省研修所　知られざる歩みと実態』光文社新書、2020年。ISBN 9784334044343。

関連項目

外務省

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