外山八郎

外山八郎の生涯と業績

外山八郎（とやま はちろう）は、1913年5月22日に和歌山県日高郡南部町で生まれました。彼の家系は著名で、祖父は明治維新後に多くの重要な役職を歴任した実業家外山脩造でした。その父は長男でしたが、公の場には現れず、日常生活を静かに送っていました。八郎自身は、1937年に東京帝国大学法学部を卒業し、三菱海上火災保険に入社しましたが、入社間もなく肺結核を発病し、療養のために故郷に戻りました。

その後、1940年に東亜研究所に入所しましたが、再び結核が再発し、療養生活を続けることになりました。1948年以降は教育の道に進み、県立田辺高校の常勤講師、後に田辺商業高校の教諭として教鞭を取りました。

1974年、八郎は和歌山県田辺市の自然を保全する運動を開始し、「天神崎の自然を大切にする会」を設立しました。その活動は1977年に市民地主運動として発展し、土地の購入を目的とした募金活動を展開しました。この努カは1983年には全国的な運動へと広がり、「ナショナル・トラストを進める全国の会」の第一回全国大会を開催するに至りました。

1985年、八郎の尽力によって日本に初めてのナショナル・トラスト法人が設立され、1986年には「財団法人天神崎の自然を大切にする会」を設立しました。これにより自然環境保全法人に対する税の減免制度が創設され、1987年には同会が正式に日本初のナショナル・トラスト法人として認定されました。八郎は専務理事として土地の管理及び購入を続け、1993年には名誉会長に就任しました。

彼はまた、1995年に田辺市文化賞を受賞した際に、「自然は子どもらに感動を与える偉大な教師」と述べ、自然保護の重要性を訴えました。1996年1月19日、急性肺炎のために田辺市内の病院で亡くなりました。彼の意志により葬儀は行われず、遺体は県立医科大学に献体されました。

外山八郎の足跡は、今日の日本における環境保護活動や、ナショナルトラスト運動に多大な影響を与えています。彼の活動を通じて我々は、自然の大切さやそれを守るための活動の意義を再認識することが求められています。

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