多功ヶ原の戦い

多功ヶ原の戦い

多功ヶ原の戦い（たこうがはらのたたかい）は、永禄元年5月29日（1558年6月15日）に下野国で発生した重要な合戦です。越後国の名将である長尾景虎は、関東地域に出兵する前に、会津の蘆名盛氏と協力し、下野国の宇都宮氏を攻撃する計画を立てました。宇都宮氏は前の年に重臣の芳賀高定の協力を得て、北条氏康や佐竹義昭の支援を受けながら壬生綱雄から宇都宮城を奪回したばかりで、当主宇都宮広綱もまだ若く、内部は不安定な状態にありました。

このような状況の中、景虎は小大名の佐野氏に対して、宇都宮領に侵攻するよう指示を出しました。そして、長尾・佐野連合軍は宇都宮領への進攻を開始しました。

合戦の進行

合戦の初めに、景虎の軍は小山氏の祇園城を攻撃しました。その結果、当主の小山高朝は一戦も交えずに降伏しました。次に連合軍は、壬生城を攻撃し、壬生綱雄が守る城を陥落させました。その後、宇都宮領の多功城に進軍し、そこで宇都宮側の戦力と激しい戦闘が繰り広げられました。

宇都宮勢は多功城の主であり、侍大将として名を馳せた多功長朝が指揮を執りました。彼の指導の下、宇都宮勢は多功城を守るために約2,000騎の兵を集結させ、連合軍の侵攻に立ち向かいます。両者は多功城下の多功ヶ原で激しく対峙し、戦闘は熾烈を極めました。

長尾・佐野連合軍は、先陣を務めた佐野小太郎（佐野豊綱）を中心に、数多くの兵士が戦死する事態に直面しました。戦況が厳しくなったため、景虎は連合軍の撤退を決断し、一時的に軍を引き上げる形となりました。この結果、多功勢は連合軍を撃退することに成功しましたが、宇都宮側も多くの将兵が犠牲となりました。

さらに、6月上旬には多功長朝が追撃を行い、敗走する長尾勢を追い詰め、上野国の白井まで攻め入りました。この後、太田資正の仲介によって和睦が成立しました。

参戦武将

宇都宮軍

• - 多功長朝

宇都宮家からの援軍

• - 祖母井吉胤 †
• - 矢板長則 †
• - 芳賀氏
• - 上三川氏

長尾・佐野連合軍

先陣

• - 佐野豊綱 †

本隊

• - 長尾景虎

合戦を巡る議論

合戦についてはさまざまな見解が存在しています。郷土史研究家の恩田浩孝は、6月上旬に行われた多功勢による追撃は、後世の脚色が加わった可能性が高いと指摘しています。また、討ち取られたという佐野小太郎が、実は佐野豊綱ではなくその嫡男だったのではないかという意見もあります。

この戦いは、下野国における力の均衡を大きく揺るがす出来事だったと言えるでしょう。

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