壬生城

壬生城の歴史と遺構

壬生城（みぶじょう）は、栃木県下都賀郡壬生町にかつて存在した日本の城で、江戸時代には下野国都賀郡の中心として壬生藩の藩庁が置かれていました。城の歴史は1462年（寛正3年）に始まります。壬生氏の始祖である壬生胤業が、城の北西に位置する常楽寺の近くに館を構えたことがその起源とされています。これは俗に「壬生古城」と称されています。

文明年間（1469年〜1486年）には壬生氏の第二代当主である壬生綱重によって本格的に築城されました。その後、1590年（天正18年）の小田原征伐で壬生氏の第5代当主、壬生義雄が病没し、壬生氏はここで滅亡します。これにより、壬生の領地は結城秀康に与えられました。

城の歴史はこの後も続き、1600年（慶長5年）に結城秀康が越前に移封されると、日根野吉明がこの地に入国しました。その後、阿部忠秋、三浦正次、松平輝貞、加藤明英、鳥居忠英が次々に封じられ、明治維新まで鳥居氏の居城として機能しました。

壬生城は天守や櫓を持たず、比較的シンプルな城郭でしたが、本丸御殿は江戸時代の初期には将軍の日光社参の宿舎に利用されることもありました。

廃城とその後の変遷

壬生城は明治維新で廃城となり、その後は城跡が取り壊されることが推奨されました。本丸の部分は残されたものの、堀や土塁は消失し、農地や宅地へと変わっていきました。1927年（昭和2年）には鳥居家の別邸が落雷で焼失し、その後、鳥居家から壬生町に寄付されました。

壬生町では公園の計画が立てられましたが、戦後の1948年（昭和23年）には中学校用地として堀と土塁が削られ、青年団の勤労奉仕で整地されました。その後、校庭の拡張に伴い、本丸西側の堀と土塁も消えてしまいます。1986年（昭和61年）の中学校移転に合わせて、1984年から1987年には本丸や二の丸の発掘調査が行われましたが、その目的は記録保存にとどまりました。

調査後、地域は町立図書館や大ホールを備えた中央公民館、歴史民俗資料館、駐車場として整備され、城址公園として再整備されることとなりました。公園内には噴水も造られ、最後まで残った本丸南側の土塁や堀は1989年（平成元年）に石垣風に作り変えられ、昔の姿はほとんど失われました。

遺構と現在

壬生城の名残として、移築された城門が鹿沼市と小山市の民家に見られます。また、2020年には壬生城の大手門に関連する礎石が現存していることが発見され、町内の民家や本丸の精忠神社などに計5基が確認されました。2021年には、民家にあった礎石の一部が城址公園内に移設され、今日でも城の歴史を感じさせる存在となっています。

壬生城の遺構は少なくなっていますが、地域の歴史を伝える重要な資産として、今後も保護されていくことでしょう。

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