多忙な一日

『多忙な一日』（原題: A Busy Day）は、1914年にキーストン社が製作し、チャールズ・チャップリンが監督と主演を務めた短編サイレント映画です。映画研究家のウノ・アスプランドが作成したチャップリンのフィルモグラフィーでは、彼の14番目の出演作とされています。また、『つらあて』という別邦題も存在します。

物語は、パレードを見に来た夫婦を中心に展開します。夫（マック・スウェイン）は、別の女性（フィリス・アレン）に気を奪われ、妻（チャップリン）は夫を取り戻そうと追いかけますが、警官隊や撮影クルーに阻まれてなかなか追いつけません。やっとの思いで夫に追いついたものの、最後は乱闘の末に海に突き落とされてしまうというドタバタ劇です。

この作品は一巻にも満たない短さで、チャップリン自身も1914年8月に異父兄に宛てた手紙の中で自身のフィルモグラフィーに含めていません。映画史家のデイヴィッド・ロビンソンは、この作品を「セネットによる作り捨てのような映画」と評し、チャップリン自身も「数えるに値しない作品」と考えていたのではないかと推測しています。

しかし、この短い作品の中にも興味深い要素がいくつか存在します。特に、チャップリン演じる妻が何度も叩きつけられるシーンは印象的です。そして何よりも注目すべきは、チャップリンの女装姿でしょう。チャップリンが女装を披露した作品は、『男か女か』と『チャップリンの女装』を含めてわずか3本しかありません。この作品でチャップリンが演じる女性は、上品さとは程遠く、気の強い労働者階級の女性という設定で、スカートで鼻を拭くなど、パントマイムでよく見られる表現が用いられています。

キャスト

チャールズ・チャップリン - 妻
マック・スウェイン - 夫
フィリス・アレン - 別の女性
マック・セネット - 映画監督
ビリー・ギルバート - 警官
テッド・エドワーズ - 警官

参考文献

デイヴィッド・ロビンソン『チャップリン』 上、宮本高晴、高田恵子 訳、文藝春秋、1993年4月。ISBN 978-4-1634-7430-4。
大野裕之『チャップリン・未公開NGフィルムの全貌』日本放送出版協会、2007年3月。ISBN 978-4-1408-1183-2。

外部リンク

A Busy Day - IMDb（英語）
Charlie Chaplin's "A Busy Day" - インターネット・アーカイブ（BGM有り。やや不鮮明）
* A Busy Day (1914) - YouTube（BGM有り）

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