多治見空襲

多治見空襲の概要

多治見空襲は、第二次世界大戦の最中、1945年にアメリカ軍によって岐阜県多治見市に対して実施された一連の攻撃を指します。この空襲は主に機銃掃射および焼夷弾による攻撃から成り、特に7月15日の攻撃では多くの死傷者が発生しました。

空襲の経緯

5月14日の空襲

1945年5月11日、アメリカ陸軍第21爆撃団は昼間に名古屋市を狙った焼夷弾の爆撃を決定しました。この作戦は名古屋市北部の工場や市街地に焦点を当て、524機のB-29爆撃機が5月14日早朝に志摩半島から日本本土へ侵入しました。彼らは奈良県、滋賀県、岐阜県を経て名古屋上空に達し、午前8時5分から9時25分までの間に攻撃を開始しました。

この攻撃により、名古屋市の約40%が被害を受け、名古屋城の天守閣や元離宮、名古屋東照宮が焼失しました。また、攻撃の影響で岐阜県内でも数か所で山林火災が発生し、死者や負傷者を出す結果となりました。多治見市周辺でも岐阜県立多治見病院近くに焼夷弾が落ちました。

7月15日の空襲

その後、7月15日には、少なくとも5機のB-29爆撃機を伴った約100機のP-51が東海地方を襲撃しました。彼らは市街地や交通インフラを攻撃し、午後1時40分までに岡崎や浜松方面へと帰投しました。

この日の攻撃で多治見市も狙われ、十数機のP-51が太多線多治見駅に集まり、停車中の旅客列車に対して無差別の機銃掃射を行いました。岐阜合同新聞によると、攻撃は駅に到着した直後に行われたために、思いもよらぬ被害が確認されました。同時に、小泉駅や駅の近くの病院、さらには昭和国民学校も攻撃を受けました。

空襲の結果、国鉄の記録によると多治見駅構内では機関車が小破し、死者は9人、重軽傷者は20人に上りました。一方、他の資料では死者が20人以上とも記されており、文献によって被害者数にはばらつきがあります。特に、病院は負傷者であふれ、近隣の安養寺が遺体安置所と検死場として利用されたことが記されている医師の日誌にもその様子が詳細に記録されています。

参考文献

• - 水谷鋼一、織田三乗『日本列島空襲戦災誌』東京新聞出版局、1975年。

関連項目

• - 岐阜空襲
• - 大垣空襲
• - 各務原空襲

多治見空襲は、戦争がもたらした悲劇的な影響を如実に示す事件であり、地域住民やその後の世代に深い傷跡を残しました。

もう一度検索