多田文男 (地理学者)

多田 文男の生涯と業績

多田文男（ただ ふみお）は、1900年7月3日に東京市下谷区で誕生し、1978年3月15日に逝去した地理学者であり地形学者です。彼は東京大学名誉教授として知られ、その学問的歩みは日本の地理学の発展に大きく寄与しました。

学歴と初期の経歴

多田は東京府立第四中学校を卒業後、第八高等学校で学びました。その後、東京帝国大学の理学部地理学科に進学し、山崎直方や辻村太郎といった著名な指導教員のもとで学びました。1923年に同大学を卒業した後は、東京大学理学部の助手としてキャリアをスタートさせました。1926年には地震研究所の助教授へと昇進し、1930年から1933年までの間は文部省の在外研究員としてドイツに留学しました。帰国後は東京大学に戻り、さらなる研究や教育活動を展開しました。

研究と教育

彼は地形研究の権威として広く認識され、特に活断層の分野において先駆的な貢献をしました。多田は応用地形学において、河川の地形と水害の関係を探究する重要な研究を行いました。1944年には、学位論文『漢蒙交界地方の乾燥地形』を提出し、理学博士号を取得しました。1953年には教授に昇格し、学界においても多大な影響力を持つようになりました。1956年から1960年までは国際地理学連合（IGU）の副会長も務め、地理学の国際的な発展にも寄与しました。

教育者としての多田

多田の教育者としての活動は多岐にわたり、東京大学以外でも法政大学や駒澤大学で教鞭を執りました。また、明治大学や九州大学、名古屋大学、北海道大学などでも非常勤講師として教え、次世代の地理学者を育成しました。1978年には、駒澤大学での教授会の席で倒れ、突然の死を迎えました。彼は喜寿を迎えた年にあたります。

多田文男外邦図コレクション

多田の研究には日本領外の地図に関するコレクション「多田文男外邦図コレクション」が含まれています。このコレクションは、陸軍参謀本部によって作成された外邦図が元となっており、1940年に資源科学研究所によって運ばれました。そのうち、整理された13,725面の地図が東京大学に保管されています。

著作と記録

彼の著書には『わが国土 3 関東地方』や『自然環境の変貌 平野を中心として』があります。また、多数の共編著も手掛けました。多田を回顧する企画展や彼の研究成果を振り返る活動も行われています。彼の業績は地理学の分野における重要な資産として残っており、後進への貴重な財産となっています。

多田文男の生涯は、彼の地理学に対する情熱と教育への情熱に満ちていました。彼の仕事は、今も多くの人々に影響を与え続けています。

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