多田頼盛

多田頼盛の生涯

多田頼盛（ただ よりもり）は、平安時代末期に活躍した武将で、源頼盛とも称されます。彼は摂津源氏（多田源氏）の創始者である源行国の長男であり、官位は従五位下・蔵人、摂津守を務めました。頼盛は多田源氏の7代目の当主として知られ、その生涯には数々の歴史的な出来事が絡んでいます。

冒頭の状況

平安中期、多田荘は源満仲の開発によって発展していました。頼盛はこの多田荘を受け継ぎましたが、彼は弟の頼憲との間で相続問題を巡り激しい争いを繰り広げました。特に当時の摂関家は藤原忠通と頼長兄弟の対立によって、内部が分裂していました。この対立の中、頼盛は忠通に仕官する一方で、弟の頼憲は頼長に仕える選択をしました。

仁平3年の遺領争い

仁平3年（1153年）、父である源行国が亡くなると、頼盛と頼憲の遺領を巡る争いはさらに激化しました。これは単なる家庭内の紛争にとどまらず、摂津国内における合戦へと発展しました。この状況は、『本朝世紀』の記録にも残っており、同年の閏12月1日の日付が記されています。

保元の乱への関与

その後、頼盛は保元の乱にも関与します。この乱の際、彼は忠通に仕えており、後白河天皇の側近として出陣しました。数百の郎党を従え、天皇の警護にあたった頼盛は、彼の役割を果たす中で重要な戦闘に参加しました（『兵範記』保元元年（1156年）7月11日条）。一方、弟の頼憲は崇徳上皇方として出撃したため、兄弟は敵同士として戦うことになります。

乱の結果、天皇方の頼盛は勝利を収めましたが、嫡子の頼憲は戦に敗北し、結果として斬首されてしまいました。この敗北により、多田荘は頼盛の嫡子である多田行綱の手に渡ることとなります。

系譜と子孫

頼盛の家族についても触れておきましょう。父は源行国で、母や妻については詳細が不明ですが、彼にはいくつかの男子がいます。彼の子どもたちには多田行綱、知実、能瀬高頼、智実などが名を連ねており、特に高松院の蔵人である多田高実もいます。これらの子孫により多田源氏は続いていくことになります。

このように、多田頼盛は平安時代末期の武将として、兄弟間の対立や保元の乱という歴史的な舞台で重要な役割を果たしました。彼の生涯は、武士の時代の幕開けを告げる一因ともなったことでしょう。

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