多羅尾綱知

多羅尾綱知の生涯と業績

多羅尾綱知（たらお つなとも）は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した武将で、細川氏や三好氏、織田氏に仕官していました。彼は特に若江三人衆の一員として知られ、その名は歴史に刻まれています。

出身と初期の経歴

多羅尾氏は近江国甲賀郡に由来し、綱知はその出身と考えられています。彼の活動が少しずつ明らかになるのは、天文16年（1547年）頃で、細川氏の当主、細川氏綱に近侍し、書状の取次ぎを行っていました。彼は最初、「孫十郎」という名で知られており、後に「左近大夫」と名乗るようになりました。この名前は、氏綱からの偏諱である「綱」の字が使われていました。

戦乱の時代とその役割

天文18年（1549年）、三好長慶が江口の戦いで細川晴元を破り、氏綱は上洛しました。これにより、綱知は氏綱の下で山城国や摂津国の行政に関与することになります。綱知は氏綱が長慶と共同統治を行っていた時期にも引き続き活動をし、永禄元年（1558年）には将軍・足利義輝が帰洛した際に幕府に出仕しました。

永禄4年（1561年）、綱知は内藤貞勝や長塩盛俊と共に氏綱の供を務め、さらに3月には足利義輝の三好亭御成に参加します。氏綱は長慶に実権を譲りますが、綱知は淀城周辺の統治権を維持し、「淀屋形」として知られる存在となりました。

松永久秀との対立

永禄9年（1566年）、松永久秀と三好三人衆との対立が続く中で、綱知は久秀に味方しました。しかし、同年6月には淀城に籠城し、三好三人衆方の攻撃を受けて退城を余儀なくされます。その後、彼は三好義継に仕官し、彼の妹を妻に迎え、男子（生勝）を儲けました。

天正元年（1573年）11月には、綱知は池田教正や野間康久と共に織田信長の軍勢を若江城に引き入れ、義継を自害に追い込みました。これにより、織田氏に降伏した綱知は北河内の支配を行い、若江三人衆の中では最も高い地位にありました。

キリシタンとの関係

興味深いことに、若江三人衆の中で池田教正がキリシタンだったのに対し、綱知はキリスト教徒を嫌っていました。彼は熱心なキリシタンである河内三箇城主の三箇頼照を毛利輝元に通じているとして、織田信長に讒言し、頼照とその子は信長に殺されかけましたが、寄親の佐久間信盛の助力により命を救われました。これは彼が「キリシタンの大敵」と称される要因となりました。

晩年と死去

天正7年（1579年）頃には、多羅尾氏は綱知から子の多羅尾光信に交代しました。天正9年（1581年）には茶会を開き、松永久秀の茶釜を使用するなど、家族間の交流を深めていました。しかし、天正11年（1583年）に若江三人衆は羽柴秀吉によって転封され、その後の動静は不明です。

ただ、天正18年（1590年）以前の書状にて綱知の死去が伝えられており、享年は60前後と推されます。その後、子息の久三郎は松永名字を名乗り、松永家に養子に入ったと考えられています。三好生勝は三好本宗家の家督を継ぎ、織田信長や羽柴秀吉に仕えたことが知られています。

まとめ

多羅尾綱知の存在は、戦国時代の日本における複雑な権力関係を映し出す重要な事例です。彼の生涯や業績は、その後の歴史に大きな影響を与え、彼自身がどのように名を残していったのかを物語っています。

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