多賀高忠

多賀高忠の生涯と業績

多賀高忠（たが たかただ）は、室町時代後期から戦国時代の初めにかけて活躍した武将である。京極高数を父に持つ彼は、多賀氏の一派である多賀豊後守家の当主であり、近江京極氏の重要な重臣として知られた。高忠は「新左衛門」という通称とともに、官位である豊後守としても広く認知されていた。

武将としての活動の始まり

高忠は、従兄である京極持清と密接な関係を築き、彼の右腕として多くの戦に従事した。寛正3年（1462年）10月5日、彼は京都侍所所司代に任命された。この役職は武士団の取りまとめや治安維持の任務を果たすものであり、高忠はその任にあたることで名を馳せることとなる。特に、寛正の土一揆鎮圧における功績は大きく評価された。

しかし、文正元年（1466年）12月、持清が延暦寺との衝突により失脚した際、高忠も解任されてしまった。これを受け、応仁元年（1467年）に発生した応仁の乱では、持清と共に東軍に属し、藩の兵力を率いて多くの戦を戦った。彼は、当時の西軍の有力者である六角高頼らに立ち向かい、山城に如意岳城を築くという戦略的な成功を収めた。

戦記に見る多賀高忠の活躍

文明元年（1469年）には六角氏の本拠である観音寺城を一時占拠し、将軍足利義政から感状を授与された。持清の死後は、彼の子である京極政経を支援し、その擁立を図る中で、一時は西軍側に対抗する力を保ったものの、文明4年（1472年）には敗走を余儀なくされ、越前国へ逃れることとなった。

文明7年（1475年）、高忠は京極氏の出雲国の国人を擁し、再起を目指したが、東軍勢力との戦闘において逆境に立たされ、その後も defeats が続いた。特に文明9年（1477年）に応仁の乱が終結すると、彼は本拠地への復帰ができず、隠棲生活を送ることになった。

晩年とその死

文明17年（1485年）4月、彼は再び室町幕府に召され、2度目の京都侍所所司代に就任した。この時期、土一揆の鎮圧や、再建に向けた活動が求められ、地元の治安を維持しつつ尽力したが、結局は翌年の死去に至った。享年62歳というその生涯は、武士としての栄光と悲劇に満ちたものであったと言える。

彼の墓所は、京都市の宗仙寺にあり、ここに彼の業績を偲ぶ人々が訪れることも多い。高忠の子孫は、次代にもわたって室町幕府に仕え、高島郡へと拠点を移すこととなる。

遺したもの

多賀高忠は、武家故実に精通しており、弓術を専門的に学び、その技術を記録した『高忠聞書』を著した。この文書は、弓術に関する貴重な研究資料であり、当時の武士の倫理観を理解するための重要な史料とされている。また、彼は和歌や連歌にも通じ、当時の知識人階級と言える存在であった。彼の生涯は、戦国時代の混乱を背景にした武士のあり方を考察する上で、重要な対象となっている。

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