夜の牙

夜の牙 (1958年の映画)

『夜の牙』は、1958年1月15日に公開された日活映画です。石原裕次郎が主演を務めたサスペンス作品であり、監督は井上梅次が担当しました。ただし、配役の序列としては月丘夢路がトップとなっています。

あらすじ

物語は、銀座に近いガード下で診療所を開業する医師、杉浦健吉（石原裕次郎）を中心に展開します。彼は、チンピラたちにカタギになることを条件に無料で治療を施していました。ある日、健吉を兄貴と慕う掏摸の三太（岡田真澄）が、足を洗って俳優になるためのオーディションを受けるため、前科のない戸籍を健吉に貸してほしいと頼み込みます。渋々ながら区役所に戸籍を取りに行った健吉は、自分が死亡したことになっているという驚愕の事実を知ります。届出人は行方不明の弟・忠夫。そこで健吉は、可愛がっている掏摸のお銀（浅丘ルリ子）や三太、恋人の看護師・朱美（白木マリ）の協力を得て、弟を探し出すことにしました。

健吉の死亡診断書を書いた医師（浜村純）によると、死因は轢死であり、遺体は激しく損傷していたとのこと。遺体を運んできたのは4人の男だったという情報も得られます。手がかりを求めて伊豆の菩提寺を訪れた健吉は、そこに自分の墓が立っているのを発見し、謎めいた女（月丘夢路）が墓参りをしているのを目撃します。寺の卓然和尚（森川信）は、死んだはずの健吉が現れたことに驚きを隠せず、埋葬に訪れた忠夫が健吉にそっくりだったと証言します。さらに、健吉の父親が亡くなり、莫大な遺産を残したことを知った健吉は、弟が遺産相続を巡るトラブルに巻き込まれたのではないかという疑念を抱き始めます。

調査を進めるうちに、健吉は遺体を運んだ4人のうち3人を特定します。それは、杉浦家の実家を管理する加納執事（西村晃）、顧問弁護士の赤沼（安部徹）、キャバレー支配人の土井（小林重四郎）でした。そして、もう一人の男は親分格の黒ずくめの男で、土曜日になると土井のキャバレー「カサブランカ」に姿を現すといいます。さらに、「カサブランカ」の元ホステスで、何かをきっかけに発狂してしまったトキ（南寿美子）が忠夫の恋人だったことが判明します。

一方、黒ずくめの男が自分を口封じのために消すのではないかと恐れた加納は、健吉にすべてを話し助けを求めようとしますが、殺害されてしまいます。鍵を握っているのは謎の女、真理。健吉は真相を解明するため、真理に接近を試みます。真理とは一体何者なのか？ 黒ずくめの男は本当に弟なのか？ 荒木刑事（安井昌二）率いる警察が動き出す中、事件は意外な展開を迎えます。

スタッフ

企画：児井英生
監督：井上梅次
脚本：井上梅次、渡辺剣次
撮影：岩佐一泉
音楽：大森盛太郎
美術：中村公彦
録音：福島信雅
編集：辻井正則
照明：藤林甲
助監督：前田満州夫
制作主任：森山幸晴
スクリプター：新関良子
現像：東洋現像所

キャスト

花岡真理：月丘夢路
杉浦健吉：石原裕次郎
掏摸のお銀：浅丘ルリ子
甲野朱美：白木マリ
掏摸の三太：岡田真澄
荒木警部補：安井昌二
土井耕三(カサブランカの支配人)：小林重四郎
卓然和尚：森川信
加納執事：西村晃
気狂娘トキ：南寿美子
区役所の課長：内海突破
赤沼弁護士：安部徹
法務局係長：山田禅二
湯本博士：弘松三郎
立松医師：浜村純
区役所の係長：山田周平
兼松(自動車の男)：三島謙
区役所戸籍係：青木富夫
土井の乾分：深江章喜
土井の乾分：峰三平
土井の乾分：榎木兵衛
土井の乾分の仲間：柳瀬志郎
トキの母・民枝：原恵子

脚注

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