夜の診察室

映画『夜の診察室』の概要

『夜の診察室』は、1971年に公開された日本の映画で、性をテーマにしたセクシャルコメディです。この映画は、性医学の専門家である父が経営するクリニックで、女子大生の娘が手伝いをする姿を中心に描かれています。娘は、カウンセリングに訪れるさまざまな患者と関わる中で、彼女自身の恋愛問題にも直面し、性の多様なあり方を探るストーリーが展開されます。

登場キャストとスタッフ

主人公を務める女子大生の役を演じたのは、当時注目されていた女優の松坂慶子です。映画は、帯盛迪彦監督のもと、長谷川公之が脚本を執筆し、中川芳久が撮影を担当しました。音楽は伊部晴美が手掛けており、独特の雰囲気を醸し出しています。

主要キャストには、松坂慶子のほかに、峰岸隆之介、高橋昌也、長谷川待子、早川雄三、真山知子などが名を連ね、個性的なキャラクターたちが物語を彩ります。

公開と上映スタイル

公開当時、この作品は増村保造監督の『遊び』とセットで上映されました。松坂慶子は、ここでも端役として出演しており、この映画での活躍が後のキャリアに繋がる重要な役割を果たしました。

リバイバル上映の経緯

1979年には、大映が倒産し松坂慶子が松竹に移籍したこともあり、若者の間で『夜の診察室』は密かに人気を集めるようになりました。大学祭での上映を希望する声が高まり、東映がフィルムを借りて再上映を計画しましたが、松坂の主演する『江戸を斬る』への影響を懸念され、急遽中止となりました。この事態がメディアの話題となり、映画がポルノ映画であるかのような誤解を生む結果となりました。

実際には『夜の診察室』は一般映画であり、内容はフランスのコメディに影響を受けたものです。この噂を受け、大映は新たな戦略を取り、スポーツ新聞にセンセーショナルな広告を掲載し上映劇場を募るなどの手法を用いました。これにより、多数の映画館からの上映申し込みが相次ぎ、映画は1980年4月に新宿座で17日間上映され、1万5千人以上を動員する成功を収めました。

この後も全国各地で上映は続き、通常の興行クラスを超える収益を上げることに成功しています。1960年代から70年代にかけての性をテーマにした映画の潮流の中で、『夜の診察室』は一つの象徴的な作品となったのです。

まとめ

『夜の診察室』は、性に関する多様な視点を提供しながら、コメディとしての楽しさを失っていない作品です。この映画は、若い世代の間で再評価され、さまざまな文化的背景を持つ視聴者にとっても新たな発見を与える内容となっています。

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