夜行 (雑誌)

『夜行』について

『夜行』（やぎょう）は、日本において1972年から1995年まで発行されていた漫画および評論雑誌で、全20号が刊行されました。この雑誌は、元『ガロ』の編集者である高野慎三が設立した北冬書房により創刊され、多くの独自のアーティストや批評家の作品が掲載されました。

創刊の背景

高野慎三は1971年暮れに青林堂を退社した後、1972年に北冬書房を設立し、同年に『夜行』の刊行を開始しました。彼の目指した目的の一つには、特に漫画家のつげ義春との関連がありました。雑誌のデザインは赤瀬川原平が手掛け、そのビジュアル面でも多くの注目を集めました。

『夜行』は、最初は年間2冊のペースで発行され、後に年1冊に減少しましたが、合計で20冊を超える長寿雑誌として知られています。印象深いことに、高野は当初、自身が考えていた2-3年を超えて、年間の刊行を続けることができました。

内容と主な執筆陣

『夜行』にはつげ義春、林静一、古川益三などが初期から参加しており、特に第1号には「夢の散歩」や「酔蝶花」といった著名な作品が掲載されました。その後、鈴木翁二や藤原マキなどの著名な作家たちも登場し、各号の内容を豊かにしました。特に、7号からは同人誌『漫画主義』が『夜行』に吸収され、より多様な内容へと発展していきました。

特集号と後世への影響

後には、特定のテーマに基づく特集も行われるようになり、例えば9号では菅野修に焦点を当てた特集が組まれました。1995年に20号をもって『夜行』は廃刊されましたが、その精神は後に登場した雑誌『幻燈』へと受け継がれています。

経済的事情と編集者の想い

興味深いことに、高野慎三は、当初から雑誌の持続可能性に疑問を持っていました。石子順造との会話の中で、他の漫画家や編集者たちから短命に終わる可能性を示唆される一幕もありました。しかし実際には、『夜行』はジャンルを問わない豊かで多様な盤石な内容を持ち続け、多くの読者を魅了しました。

まとめ

これらの要素が相まって、『夜行』は日本の漫画および評論雑誌の中で特異な存在として記憶されています。その内容や発行に関する詳細は、今なお多くの研究や関心を集めており、当時の文化や社会情勢の一端を見る上でも重要な資料となっています。

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