夢の翼〜ヒッツ&ヒストリー〜

『夢の翼〜ヒッツ&ヒストリー〜』（ゆめのつばさヒッツ・アンド・ヒストリー、英語: Wingspan: Hits and History）は、2001年に発表された、ポール・マッカートニーのキャリアを総括する2枚組のベスト・アルバムです。

概要

この作品は、ポールがビートルズ解散後に開始したソロ活動から、バンド「ウイングス」としての活動期を含め、1970年発表のアルバム『マッカートニー』から1984年のサウンドトラック『ヤァ!ブロード・ストリート』までの期間に生み出された楽曲の中から厳選されています。膨大な楽曲の中から、特にリスナーに馴染み深いヒット曲や、ポール自身が思い入れのある楽曲がセレクトされています。

本作はコンセプトの異なる2枚のディスクで構成されています。ディスク1は「Hits」と名付けられ、ポール・マッカートニーおよびウイングス名義での代表的なヒット・シングルが多数収められています。一方、ディスク2は「History」と称され、ポール・マッカートニー自身がお気に入りの楽曲や、ソロキャリアの軌跡を辿る上で重要な楽曲を選んで収録しています。これにより、ポールのソロワークにおける多面的な魅力を一度に味わうことができます。

収録されている音源には、いくつかの特筆すべきバージョンが含まれています。例えば、これまでCDとしてはリリースされていなかったシングル・バージョンや、ラジオ放送などで使用されたDJエディット・バージョンが初めて収録されています。また、「メドレー:ビップ・ボップ〜ヘイ・ディドル」は、発表されていなかったプライベート・フィルムからの貴重な音源を使用しています。

「カミング・アップ」の収録バージョンも、地域によって異なっています。アメリカ盤にはグラスゴーでのライブ録音版が収録されていますが、イギリス盤や日本盤には、それとは異なるミックスが施されたスタジオ録音版が収められています。日本盤にはさらに、ボーナス・トラックとして「出ておいでよ、お嬢さん」が追加で収録されており、国内のファンにとっては特別な仕様となっています。

アルバムの物理的な装丁にもこだわりが見られました。イギリス盤および日本盤の初回盤は、3D効果のある特殊な外装ケースが採用されました。アメリカ盤の初回盤はさらに豪華で、布製のデジパック仕様に3Dカードが貼り付けられたものでした。

収録曲

ディスク1 ("Hits")

- あの娘におせっかい - "Listen To What The Man Said"
- バンド・オン・ザ・ラン - "Band On The Run"
- アナザー・デイ - "Another Day"
- 007/死ぬのは奴らだ - "Live And Let Die"
- ジェット - "Jet"
- マイ・ラヴ - "My Love"
- 心のラヴ・ソング - "Silly Love Songs"
- パイプス・オブ・ピース - "Pipes Of Peace" (シングル・バージョン)
- C・ムーン - "C Moon"
- ハイ・ハイ・ハイ - "Hi Hi Hi"
- 幸せのノック - "Let 'Em In"
- グッドナイト・トゥナイト - "Goodnight Tonight"
- ジュニアズ・ファーム (DJエディット) - "Junior's Farm (DJ Edit)" (初CD化)
- 夢の旅人 - "Mull Of Kintyre"
- アンクル・アルバート〜ハルセイ提督 - "Uncle Albert / Admiral Halsey"
- しあわせの予感 (DJエディット) - "With A Little Luck (DJ Edit)" (初CD化)
- カミング・アップ - "Coming Up" (未発表ミックス、アメリカ盤はライブ版)
- ひとりぽっちのロンリー・ナイト - "No More Lonely Nights" (シングル・バージョン)
- 出ておいでよ、お嬢さん - "Eat At Home" (日本盤ボーナス・トラック)

ディスク2 ("History")

- レット・ミー・ロール・イット - "Let Me Roll It"
- ラヴリー・リンダ - "The Lovely Linda"
- デイタイム・ナイトタイム - "Daytime Nightime Suffering"
- 恋することのもどかしさ - "Maybe I'm Amazed"
- 愛しのヘレン - "Helen Wheels"
- ブルーバード - "Bluebird"
- ハート・オブ・ザ・カントリー - "Heart Of The Country"
- エヴリナイト - "Every Night"
- テイク・イット・アウェイ - "Take It Away" (シングル・バージョン、初CD化)
- ジャンク - "Junk"
- マン・ウィ・ワズ・ロンリー - "Man We Was Lonely"
- ヴィーナス・アンド・マース/ロック・ショー (シングル・エディット) - "Venus And Mars / Rockshow (Single Edit)" (シングル・バージョン、初CD化)
- バック・シート - "Back Seat Of My Car"
- ロケストラのテーマ - "Rockestra Theme"
- ガールフレンド - "Girlfriend"
- ウォーターフォールズ (DJエディット) - "Waterfalls (DJ Edit)" (初CD化)
- トゥモロウ - "Tomorrow"
- トゥ・メニー・ピープル - "Too Many People"
- コール・ミー・バック・アゲイン - "Call Me Back Again"
- タッグ・オブ・ウォー - "Tug Of War" (シングル・バージョン、初CD化)
- メドレー:ビップ・ボップ〜ヘイ・ディドル - "Bip Bop / Hey Diddle"
- ひとりぽっちのロンリー・ナイト (プレイアウト・ヴァージョン) - "No More Lonely Nights (Playout Version)"

このアルバムは、ポールのソロキャリア初期から中期にかけての重要な楽曲を体系的にまとめた作品として、ファンにとって価値のあるリリースとなりました。

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