大コロンビア

大コロンビア：南米統一の夢と挫折

大コロンビア（グラン・コロンビア）は、1819年から1831年まで存在した、南アメリカ北部のコロンビア共和国を指します。この国家は、ベネズエラ、ヌエバ・グラナダ、そして南部地区（現在のエクアドル）を統合した広大な領域を誇りました。

大コロンビアの成立

大コロンビアの起源は、シモン・ボリーバルによるヌエバ・グラナダ（現在のコロンビア）とベネズエラの統一の提唱に遡ります。当時、両地域はそれぞれ独立を宣言し、スペインとの戦いを繰り広げていました。ボリーバルは、個別の戦いではスペイン軍に対抗できないと考え、統一国家の建設を訴えました。その構想に基づき、1819年にコロンビア共和国が建国されました。

1821年にはククタ議会が開催され、憲法制定について議論が交わされ、グラン・コロンビア共和国憲法が成立しました。ヌエバ・グラナダ解放後、首都はサンタフェ・デ・ボゴタに移されました。その後、グアヤキルを解放し、1822年にはキトを領土に組み入れました。さらに、ペルーの解放にも貢献し、南米における独立運動を主導しました。

パナマ議会の失敗と内部対立

ボリーバルの理想は、南米に統一的な大国家を建設することでしたが、その道のりは困難を極めました。1826年にはパナマ議会を招集し、南北アメリカの独立国間の協力体制を築こうとしましたが、各国の思惑が異なり、十分な成果を上げられませんでした。

さらに、コロンビア内部では、中央集権を志向するボリーバルと、分権化を求める副大統領フランシスコ・デ・パウラ・サンタンデルの対立が深刻化しました。この対立には、人種や階級の問題も絡み合い、国内の政治情勢は不安定さを増していきました。ベネズエラでは、遠く離れたボゴタの支配に対する不満が高まり、分離を求める声が強まりました。

大コロンビアの分裂

ボリーバルは強権を発動して分離の動きを抑えようとしましたが、1830年にホセ・アントニオ・パエスがベネズエラの分離を宣言すると、事態の収拾は不可能となりました。アントニオ・ホセ・デ・スクレは、分離を阻止しようと交渉に尽力しましたが失敗し、暗殺されました。ボリーバル自身も失意のうちに病死し、大コロンビアを維持しようとする指導者を失ったことで、ベネズエラとエクアドルが相次いで分離独立しました。

1831年にはボリーバル派の政権が崩壊し、残存地域はヌエバ・グラナダ共和国として再編成されました。こうして、南米大陸に一大勢力を築いた大コロンビアは、短い歴史に幕を閉じたのです。

大コロンビアの崩壊は、南米における統一国家建設の難しさを示す教訓となりました。しかし、ボリーバルの理想は、その後のラテンアメリカの統合運動に大きな影響を与え続けています。

関連項目

アメリカ大陸諸国の独立年表
中央アメリカ連邦
リオ・デ・ラ・プラタ連合州

外部リンク

Flags of The World, Gran Colombia
* 『大コロンビア』 - コトバンク

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