大ダイジェスト版 三億円強奪事件の唄

大ダイジェスト版 三億円強奪事件の唄

『大ダイジェスト版 三億円強奪事件の唄』（だいダイジェストばん さんおくえんごうだつじけんのうた）は、日本のシンガーソングライターである高田渡が1969年に発表した楽曲であり、同名のシングルレコードとしてもリリースされた作品です。

楽曲の概要

本作は、1968年末に発生し、日本社会に大きな衝撃を与えた三億円事件を題材としています。原曲には、アメリカの有名なアウトローを描いた伝承歌「ジェシー・ジェイムズ」のメロディが用いられています。このメロディに乗せて、事件を巡る物語や、当時の社会情勢を風刺するような歌詞が展開されます。歌詞には、江戸時代の義賊とされる「鼠小僧」や、落語などに登場する庶民的なキャラクターである「八っつぁん」「熊さん」といった人物が登場し、事件を語る独特の世界観を作り上げています。

リリース形態

1969年版シングル

この楽曲は、まず1969年にフォークソング専門レーベルであるURCレコードから非売品のシングルレコードとして配布されました。このシングルの特徴は、片面（A面）にスタジオで録音されたバージョンが通常のシングル盤と同じ45回転で収録されているのに対し、もう片面（B面）にはライブ会場での実況録音版が、一般的なシングル盤とは異なる33回転で収められている点です。ジャケットには「大・ダイジェスト版 三億円強奪事件の唄」と表記され、「唄」には「はなし」（物語、語り）というルビが添えられていましたが、レコード盤のラベル面には「大ダイジェスト版 “3億円強奪事件の唄”」と異なった表記が見られます。

スタジオ録音版と実況録音版では、歌詞の一部に違いが見られます。特にB面の実況録音版は、同じくURCレコードに所属していた岡林信康も参加しており、単なる楽曲演奏に留まらず、ユーモラスな語りや、当時の他の楽曲のメロディ、あるいはそれらの替え歌が挿入されています。具体的には、ザ・ビートルズの「ミッシェル」やアニメソング「ゲゲゲの鬼太郎」、そしてザ・フォーク・クルセダーズのヒット曲である「夕月」や「悲しくてやりきれない」といった楽曲の要素が引用されています。

収録曲（1969年版）

SIDE A: 大ダイジェスト版 “3億円強奪事件の唄” (3:34)
原曲: ジェシー・ジェイムズ
作詞: 高田渡
SIDE B: 〜実況録音・東京労音例会にて〜 大ダイジェスト版 “3億円強奪事件の唄” (6:35)
原曲: ジェシー・ジェイムズ
作詞: 高田渡
録音日/場所: 1969年3月15日 / 渋谷公会堂

1972年版シングル（お年玉レコード）

1972年にも、URCレコードより再び非売品レコードとして本楽曲が配布されました。これは「お年玉レコード」と銘打たれた企画商品で、過去にリリースされた既発曲を両面に収録したシングル盤という位置づけでした。この1972年版では、A面に1969年版シングルのB面に収録されていた高田渡と岡林信康による実況録音版が33回転で収められています（この盤面での表記は『大ダイジェスト盤 三億円強奪事件の唄』）。B面には、同じURCレコードのアーティストである西岡たかしの楽曲「砂漠」（1969年発表済み）が通常の45回転で収録されました。

収録曲（1972年版）

SIDE A: 大ダイジェスト盤 三億円強奪事件の唄（実況録音） (6:35)
原曲: ジェシー・ジェイムズ
作詞: 高田渡
SIDE B: 砂漠 (7:00)
作詞・作曲: 西岡隆

レコーディング情報

大ダイジェスト盤 三億円強奪事件の唄（実況録音）
唄・語り: 高田渡、岡林信康 他
ミキサー: 松田宏
録音日/場所: 1969年3月15日 / 渋谷公会堂（ジャケットには「渋谷公開堂」と誤記）
砂漠
唄・語り: 西岡たかし
ミキサー: 四家秀次郎
録音日/場所: 1969年8月4日 / アオイスタジオ

その後の影響

発表から長い年月が経過した後、2008年12月13日にフジテレビ系列で放送された三億円事件に関するドキュメンタリー特別番組『完全犯罪ミステリースペシャル 新証言!三億円事件 40年目の真相 〜極秘捜査ノートが語る2200日〜』の中で、この『大ダイジェスト版 三億円強奪事件の唄』がBGMとして使用され、改めて多くの人々にその存在が知られることとなりました。

関連項目

1969年の音楽
1972年の音楽

（この文章は提供された情報を基に作成されており、脚注等の情報は含まれていません。）

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