悲しくてやりきれない

『悲しくてやりきれない』の概要

「悲しくてやりきれない」は、1968年3月21日にリリースされたザ・フォーク・クルセダーズの楽曲です。この曲は、同バンドの2枚目のシングルとして東芝音楽工業（キャピトル・レーベル）から発表されました。その後、1976年に東芝EMIから再リリースされた際、レーベル名が「EXPRESS」に変更されました。この新しいリリースには、大阪有線放送社が制作した非売品の盤も含まれており、その際には「東芝レコード」のロゴが用いられていました。

制作背景と作曲のエピソード

この曲は、当初予定されていた「イムジン河」が発売自粛となったことを受け、急遽作曲されました。パシフィック音楽出版の会長である石田達郎からの依頼で、彼は会長室に3時間閉じ込められた状況でした。この厳しい状況の中、加藤登紀子は自らの経験を基にして最後の数十分で曲を仕上げ、カセットに録音して持ち帰りました。初対面のサトウハチローに曲を持参した際、この詞が果たして良いのか懸念しつつも、実際に歌ってみると曲と歌詞が驚くほど合致していたと振り返っています。

B面について

B面に収録された「コブのない駱駝」は、作詞家として成功を収めた北山修の初の作詞曲です。この楽曲は、北山が専門とする精神医学との関連性があるとされています。加えて、加藤はビートルズの影響を受け、その作品にシタールを使用して演奏を行いました。

映像作品や演劇での使用

「悲しくてやりきれない」は、さまざまな映像作品や演劇に利用されてきました。1992年のTBSドラマ『悲しくてやりきれない』の主題歌としておおたか静流のアレンジが使われ、同年の映画『シコふんじゃった。』にも挿入歌として登場しました。2004年の映画『パッチギ!』や2003年度のNHK連続テレビ小説『てるてる家族』でも使用され、さらに2015年の舞台『幕が上がる』ではももいろクローバーZの玉井詩織が劇中で歌唱しました。2016年には、アニメ映画「この世界の片隅に」においてコトリンゴによるカバーがオープニング曲として取り上げられました。

カバー作品

この名曲は多くのアーティストにカバーされてきました。松本伊代が1989年にカバーし、続いておおたか静流は1992年に映画『シコふんじゃった。』のためにアレンジを手掛けました。奥田民生や坂本真綾など、様々なアーティストが自らのスタイルでこの楽曲を取り上げています。特に、奥田は2002年にシングル「花になる」のカップリングとして収録しました。

世代を超えて愛され続けている「悲しくてやりきれない」は、今も多くのアーティストや映像作品を通じて新たな命を吹き込まれ、聴く人々の心に響いています。

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