大モーリタニア

大モーリタニアとは

「大モーリタニア」とは、モーリタニアの民族統一主義者が提唱した、領土拡張の概念です。この概念が指す領域は、現在のモーリタニアだけでなく、西サハラや、サハラ砂漠西部に居住するムーア人やサフラウィ人の居住地域を含みます。

歴史的背景

1957年、モーリタニアの初代大統領となるモクタル・ウルド・ダッダが、スペイン領サハラに対して初めてこの言葉を使用しました。1960年にモーリタニアが独立を果たしますが、モロッコはこの独立を承認しませんでした。1969年になってようやく、モロッコとの間に国交が樹立されます。

1970年、スペインが植民地を放棄すると、再び大モーリタニアの主張が広まりました。しかし、モーリタニアは、モロッコが「大モロッコ」を目指して国境を南下させることを危惧していました。この「大モロッコ」とは、西サハラだけでなくモーリタニア全土をも統合するという概念です。

その後、西サハラはモロッコとモーリタニアによる分割統治が開始されます。1973年には、独立を目指す住民がポリサリオ戦線を結成し、後にアルジェリアとリビアの支援を受けました。

1975年、国際司法裁判所は、西サハラの住民に対して、モロッコへの併合、モーリタニアへの併合、独立国家の建設という3つの選択肢から、住民が望むものを選ぶことができるという判断を示しました。

1976年には、サハラ・アラブ民主共和国が建国されましたが、アルジェリアのアルジェに拠点を置く亡命政府でした。1978年、モーリタニアはポリサリオ戦線に敗北し、ダッダ大統領は失脚しました。1979年、モーリタニアは西サハラへの領土主張を撤回し、ポリサリオ戦線を正当な代表として承認しました。これにより、モロッコとの関係は急速に悪化し、クーデターを仕掛けられたことから、ポリサリオ戦線やアルジェリアに接近しました。後にモーリタニアはサハラ・アラブ民主共和国と正式な国交を結びました。

現在の状況

現在のモーリタニアでは、どの主要政党も大モーリタニアを目指しておらず、国民もそれを求めていません。サハラ・アラブ民主共和国を承認し続けていますが、モロッコとの関係も修復しています。現在は、未解決の西サハラ問題からの撤退を目指しています。

関連項目

* 西サハラの歴史

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