大中臣安則

大中臣安則（おおなかとみ の やすのり）は、平安時代前期から中期にかけて活躍した貴族であり、伊勢神宮の祭主を務めた人物です。参議・大中臣子老（おおなかとみ こおゆ）の曾孫にあたり、駿河守・大中臣道雄（おおなかとみ みちお）の六男として生まれました。最終的な官位は従四位上・神祇伯（じんぎはく）にまで昇りました。

経歴

安則は宇多天皇の時代、寛平6年（894年）に正六位上・神祇権大祐（じんぎごんのたいゆう）の地位にあった際に、伊勢神宮の祭主に任命されました。翌寛平7年（895年）には従五位下・神祇権大副（じんぎごんのたいふ）に叙任され、寛平9年（897年）には醍醐天皇の即位に伴い、従五位上に昇叙しました。

延喜6年（906年）には、大中臣良臣（おおなかとみ よしおみ）ら同族8人とともに『新撰氏族本系帳（しんせんしぞくほんけいちょう）』を朝廷に奉りました。また、『延喜式（えんぎしき）』の撰修にも携わるなど、文化的な事業にも貢献しました。延喜14年（914年）には正五位下、延喜17年（917年）には従四位下に叙せられ、延喜18年（918年）には神祇伯に任ぜられ、延喜23年（923年）には従四位上に至りました。

祭主としては、延喜22年（922年）4月と延喜23年（923年）正月に、京の都における病の平癒を祈る祈祷を行いました。また、延長3年（925年）5月と延長5年（927年）5月には、雨乞いの祈祷も行っています。

醍醐天皇の治世末期である延長6年（928年）正月24日に亡くなりました。享年は82歳でした。

官歴

『類聚大補任（るいじゅたいほにん）』に記載された安則の官歴は以下の通りです。

時期不詳：正六位上。神祇権大祐
寛平6年（894年）4月18日：伊勢神宮祭主
寛平7年（895年）正月：従五位下。8月：神祇権大副
寛平9年（897年）11月20日：従五位上（醍醐天皇践祚）
延喜14年（914年）正月7日：正五位下
延喜17年（917年）11月17日：従四位下
延喜18年（918年）2月：神祇伯
延喜21年（921年）正月：兼伊勢権守
延喜23年（923年）正月7日：従四位上
延長6年（928年）正月24日：卒去

系譜

『群書類従』巻第62に収録されている「中臣氏系図」によれば、安則の系譜は以下の通りです。

父：大中臣道雄
母：不詳
妻：不詳

生母不明の子女として、以下の子がいました。

長男：大中臣完行（おおなかとみ の さだゆき）
次男：大中臣密如（おおなかとみ の みつゆき）
三男：大中臣述征（おおなかとみ の のぶゆき）
四男：大中臣茂之（おおなかとみ の しげゆき）
五男：大中臣俊行（おおなかとみ の としゆき）
六男：大中臣正行（おおなかとみ の まさゆき）
七男：大中臣文行（おおなかとみ の ふみゆき）
八男：大中臣頼行（おおなかとみ の よりゆき）
九男：大中臣光行（おおなかとみ の みつゆき）
* 十男：大中臣佐行（おおなかとみ の すけゆき）

大中臣安則は、平安時代における神祇官の要職を歴任し、朝廷における儀式や祭祀に深く関わった人物として、その名を知られています。

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