祭主

祭主（さいしゅ）

祭主とは、伊勢神宮にのみ置かれている特別な神職の役職であり、「まつりのつかさ」とも読みます。現在は、黒田清子氏がその任を務めています。

概要

歴史

祭主は、古代においては令外官の一つとして神祇官に属し、伊勢神宮の神官の長として機能していました。中央の役職であり、通常は都に居住し、神宮関連の行政事務を統括していました。

初代祭主は、推古天皇の時代に中臣御食子（なかとみのみけこ）（藤原鎌足の父）が祭官となったこととされています。天武天皇の時代に中臣意美麻呂（なかとみのおみまろ）が任じられた際、祭官から祭主に改称されたと伝えられています。明治時代以前は、代々中臣氏（大中臣氏）、特に二門の者がその地位を世襲し、神祇官の次官である神祇大副や神祇権大副を兼任することが多くありました。

役割

祭主は、伊勢神宮における重要な祭祀、具体的には祈年祭・両月次祭・神嘗祭の4つの大祭に際し、天皇陛下の名代である奉幣使として参向します。そして、祝詞を奏上することで、天皇の意思を祭神に伝えるという重要な役割を担っていました。また、式年遷宮においては、造神宮使・奉遷使を務めました。

伊勢神宮以外にも同名の役職が置かれることがありましたが、伊勢神宮の祭主とは明確に区別されます。

近代以降の変遷

近代に入り、社家の世襲制度が廃止されると、藤波家（大中臣氏）による世襲も終わりを迎えました。その後、華族が神宮祭主に任じられるようになり、さらに皇族または公爵をもって任じる親任官となりました。この制度は、勅令である神宮司庁官制によって法制化されました。

戦後、神道指令と日本国憲法の施行により、国家からの独立を果たし、宗教法人としての神宮となりました。現在は、宗教法人としての規則に基づき、祭主は「勅旨を奉じて定める」とされ、もっぱら女性の元皇族が就任するようになりました。

近代最初の皇族祭主は、久邇宮朝彦親王（くにのみやあさひこしんのう）（香淳皇后の祖父）であり、その子孫が就任することが多いです。熱田神宮にも祭主を置く動きがありましたが、実現には至っていません。

戦後、皇族出身の女性が祭主を務めることから、斎宮（さいくう）と混同されることがありますが、斎宮は伊勢神宮に仕えた未婚の皇族女性のことであり、南北朝時代に廃絶しています。

歴代祭主

世襲祭主時代

(詳細な歴代祭主のリストは省略)

親任祭主時代

(詳細な歴代祭主のリストは省略)

女性祭主時代

(詳細な歴代祭主のリストは省略)

脚注

注釈

(注釈)

出典

新田均「明治時代の伊勢神宮」『皇学館論叢』第27巻第2号、皇学館大学人文学会、1993年4月、61-76頁、ISSN 02870347

関連項目

神職
宮司
斎宮

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