大久保賢一

大久保賢一氏は、日本の映画界において多大な貢献を果たしてきた著名な映画評論家です。1950年2月13日生まれ。多摩美術大学造形表現学部講師として後進の指導にもあたっています。

早稲田大学商学部、文学部演劇学科と在学中に自主制作映画の上映や16ミリ映画製作に携わり、既に若き日から映画への情熱を燃やしていました。大学在学中から映画評論家としての活動も開始。その活動は多岐に渡り、評論活動以外に映画祭への関与も深く、日本映画界に大きな影響を与えています。

1975年には、自ら映画雑誌『NEW CINEMA EXPRESS』を創刊。独立系の映画雑誌を創刊したことは、日本の映画文化の発展に貢献したと言えるでしょう。同誌は、インディペンデントな視点からの映画批評で注目を集め、日本の映画評論界に新たな風を吹き込みました。

1980年代には、日本の代表的な映画祭であるぴあフィルムフェスティバルの審査員を務めました。同映画祭は、新しい才能の発掘や、多様な映画作品の紹介を通じて、日本の映画文化に大きく貢献しています。大久保氏の審査員としての参加は、同映画祭の権威を高めることに繋がったと言えるでしょう。

国内にとどまらず、東京国際映画祭をはじめ、フランスのクレルモンフェラン国際短編映画祭、ハワイ国際映画祭、ボンベイ国際映画祭など、世界各国の著名な映画祭で審査委員を務めるなど、国際的な活躍も著しいです。これらの活動を通して、日本の映画を世界に紹介し、国際的な映画交流に貢献しました。

国際交流基金の活動にも深く関わっており、1994年には「中央アジア映画祭」のプログラム・ディレクターとして、中央アジアの映画を紹介する役割を担いました。1999年には「ロシア日本映画祭」（モスクワ・ハバロフスク）のプログラミング担当として、日本映画のロシアへの紹介に尽力しました。

テレビ番組への出演経験も豊富で、フジテレビの「ミッドナイト・アートシアター」やNHK-BSの「シネマパラダイス」などに出演し、幅広い層に映画の魅力を伝えてきました。これらの活動を通して、映画への深い知識と造詣を一般視聴者に分かりやすく伝える役割を果たしました。

執筆活動も精力的に行なっており、『映画 二極化する世界映画』（朝日新聞社、2002年）などの単著の他、『世界の映画作家 38』（キネマ旬報社、1971年）、『オルタ・カルチャー』（リブロポート、1997年）などに寄稿。ウォーレン・オーツ著『荒野より』（立風書房、1981年）の翻訳も手掛けています。

このように、大久保賢一氏は映画評論家として、映画製作者、映画祭関係者、そして映画ファンなど、多方面に渡って活躍し、日本の映画界に計り知れない貢献を果たしてきたと言えるでしょう。現在も多摩美術大学で後進の育成に携わっており、その活動はこれからも日本の映画文化を豊かにしていくものと期待されています。

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