大倉ダム

大倉ダムの紹介

大倉ダム（おおくらダム）は、宮城県仙台市青葉区に位置し、名取川水系の大倉川に建設されたダムです。このダムは、治水と利水の目的を果たすために作られ、その役割の重要性から「大倉湖」という人造湖を形成しています。

ダムの概要

大倉ダムは、昭和41年に完成し、現在は宮城県によって管理されています。このダムは、建設省東北地方建設局によって施工された特定多目的ダムであり、高さは82.0メートルです。このダムの特徴は、全国に二カ所しか存在しない「マルチプルアーチダム」であり、二つのアーチが連なっているという独特の工法が採用されています。これにより日本唯一のダブルアーチ式コンクリートダムとなっています。

ダムは、名取川の治水、仙台市の水源としての役割を担うもので、2023年には土木学会により選奨土木遺産に認定されました。この評価は、ダムが地域で重要な役割を果たしていることを示しています。

地理的背景

大倉川は、名取川水系の主要河川であり、歴史的にも仙台市地域の淡水供給源として重視されてきました。流域の水源となる船形山から始まり、険しい峡谷を形成しながら広瀬川に合流します。広瀬川は仙台市の中心部を流れ、最終的に太平洋に至ります。ダムの完成とともに、周辺地域の洪水被害を抑える効果が期待されました。

ダム建設の経緯

仙台市は20世紀初頭から河川開発を進めており、特に戦後の人口増加と水需要の高まりに対処するため、大倉川に上水道専用のダム建設計画を打ち立てました。しかし、同時に洪水被害も頻発していたため、名取川水系全体の治水と利水のための計画が必要とされました。これにより、大倉ダムの建設計画が具体化されました。

補償と地域住民

ダム建設にあたっては、地元住民との補償交渉が重要な側面とされました。建設に伴い水没する地域の住民に対し、適切な補償が求められましたが、補償額の不正問題が発覚するなど、混乱も生じました。最終的には補償交渉が妥結し、住民の移転が進みました。

治水と利水の機能

大倉ダムは、治水と利水の両方に強い機能を持ちます。治水に関しては、対象地点での洪水流量を効果的に調整し、仙台市周辺を洪水から守る役割を果たしています。また、利水に関しては、仙台市と周辺地域に必要な水を供給し、農業や工業用水に対応しています。

観光と地域振興

ダムの上流には定義如来と作並温泉があり、多くの観光客が訪れるスポットとなっています。大倉湖の湖畔にはダム湖畔公園が整備され、自然と観光が融合した地域になっています。また、地域の交通路も発展し、公共交通機関も利用できます。

まとめ

大倉ダムは、仙台市の水供給のみならず、洪水防止にも寄与する重要な施設です。その独特の構造や歴史的経緯を持ち、地域の生態系や経済にも大きな影響を与えています。また、観光面でも地域振興に貢献し続けています。

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