大内弘幸

大内弘幸（おおうち ひろゆき）は、鎌倉時代後期から南北朝時代にかけての武将であり、周防国（現在の山口県）を拠点とした大内氏の第8代当主です。

生涯

1320年に父の死を受けて家督を相続し、大内氏の当主となりました。1332年に勃発した元弘の乱では、北条高時の命により、厚東武実や熊谷直経といった西国の武士たちと共に幕府軍として上洛し、戦いに参加しました。

1333年、四国で反幕府勢力が勢いを増すと、長門探題の北条時直と協力し、鎮圧に尽力しました。しかし、この行動が原因で、建武政権からは疎まれることとなり、叔父である鷲頭長弘が周防守護職に任じられる事態となります。鷲頭長弘は、大内豊前権守、または大内豊前権守入道と名乗り、大内氏の惣領として周防国に君臨しました。

1335年12月、弘幸は足利尊氏と親交を深め、武家方として行動を共にすることを選択しました。1336年2月には、鷲頭長弘の周防守護代に任ぜられます。しかし、弟の波野弘直は後醍醐天皇に味方し、新田義貞の指揮下に入り、武家方と戦うという兄弟で敵味方に分かれる事態となりました。波野弘直はその後周防国に戻りますが、足利尊氏が九州へ下向する際に挙兵し、1336年7月7日に石見国益田で討ち死にしました。

室町幕府が成立した後も、鷲頭長弘は足利尊氏に取り入り、周防守護職の座に留まりました。鷲頭氏と大内氏の対立は激化し、1341年には長弘側の放火によって、大内氏の氏寺である氷上山興隆寺が焼失するという事件も発生しています。

1350年、弘幸は子の弘世と共に長弘討伐を決意し、東大寺領であった吉敷郡椹野庄に乱入し、南朝に帰順する意思を示しました。翌年の7月には正式に南朝に帰順し、子の弘世が南朝から周防守護職に任じられました。しかし、長弘を討伐できないまま、1352年4月20日に死去しました。

大内弘幸の生涯は、鎌倉幕府の滅亡から南北朝時代への移行という激動の時代を、一族内の対立を抱えながらも生き抜いた武将の姿を伝えています。

参考文献

近藤清石『大内氏實録』
防長新聞社山口支社編『近世防長諸家系図綜覧』
復刻 御薗生翁甫 著「付録 新撰大内氏系図」, 田村哲夫編修 編『近世防長諸家系図綜覧』

関連項目

観応の擾乱

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