大内弘貞

大内弘貞

大内弘貞（おおうち ひろさだ）は、鎌倉時代に周防国（現在の山口県）で勢力を誇った大内氏の第4代当主です。

生涯

弘貞の祖父である満盛は、鎌倉幕府の成立に貢献し、周防・長門国における大内氏の領地を拡大しました。しかし、満盛は西国武士という立場から、幕府の完全な支配下にはありませんでした。

弘貞の時代になると、大内氏は幕府との関係をより深め、弘貞自身も幕府の御家人のような振る舞いをするようになります。幕府による閑院御所の造営にも参加しました。弘安4年（1281年）の元寇の際には、幕命を受けて豊前国（現在の大分県北部）へ進出し、元軍に備えました。

弘貞は、非常に信仰心の篤い武将としても知られています。古尾にあった八幡宮を分祀し、須川に北方八幡宮を、吉沢に南方八幡宮を建立しました。康元2年/正嘉元年（1257年）には、興隆寺に鐘を寄進しています。また、文永3年（1266年）には、宮野中村熊坂に大照寺を創建しました。

現在も残る右田ヶ岳観世音菩薩の縁起も、弘貞が深く関わっています。文永11年（1274年）、弘貞が夢を見たことをきっかけに堂宇を建て、観世音菩薩像を安置し、連日参詣したことが、周防国の守護仏としての始まりとされています。その他、瑞雲寺（柳井市）など、周防国内の多くの寺院の創建に関わりました。これらの事績から、弘貞が周防国の文化に大きく貢献したことがわかります。

このように、大内弘貞は、鎌倉時代における大内氏の勢力拡大に貢献しただけでなく、幕府との関係を強化し、周防国の文化発展にも尽力した人物として、歴史に名を残しています。

参考文献

防長新聞社山口支社編 編『近世防長諸家系図綜覧』三坂圭治監修、防長新聞社、1966年3月。
復刻 御薗生翁甫 著「付録 新撰大内氏系図」、田村哲夫編修 編『近世防長諸家系図綜覧』三坂圭治監修（復刻版）、マツノ書店、1980年11月。

関連項目

元寇
厚東氏

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