大分臨海工業地帯

大分臨海工業地帯

大分臨海工業地帯は、大分県大分市に位置する、製鉄業と石油化学工業を中心とした日本有数の複合的な工業地帯です。この地帯は、九州地方における重要な工業拠点であり、太平洋ベルト地帯の一部を構成しています。

沿革

第1期計画 (1959年～)

1959年、大分川左岸から大野川左岸にかけての海岸線を埋め立てる第1期計画が開始されました。この計画によって造成された埋立地には、九州石油（現ENEOS）、九州電力、昭和電工、新日本製鐵などの大企業が進出しました。1964年には新産業都市に指定され、高度経済成長期における日本の産業発展に大きく貢献しました。特に、昭和電工の石油化学コンビナートや新日本製鐵の製鉄所は、それぞれの企業の中核施設として、日本有数の規模を誇ります。昭和電工のコンビナートは、高杉良の小説『生命燃ゆ』のモデルとなったことでも知られています。

かつて3・4号地の後背地には旧大分空港がありましたが、新日本製鐵の高炉建設の妨げとなるため、1971年に国東半島へ移転しました。当初、この工業地帯は「大分・鶴崎臨海工業地帯」と呼ばれていましたが、大分市と鶴崎市などの合併に伴い、「大分臨海工業地帯」という名称に変更されました。

第2期計画 (1973年～)

1973年には、大野川右岸に埋立地を造成する第2期計画が始まりました。しかし、石油ショックや環境問題への関心の高まりから住民の反対運動が起こり、埋め立て工事は進捗しませんでした。特に8号地については、計画の取り消しを求める訴訟まで発生しました。裁判では行政側が勝訴したものの、経済情勢の変化により8号地の造成は中止となりました。企業の進出も当初は低調でしたが、1981年には7号地で三井造船大分事業所が操業を開始し、1990年には6号地で大分エル・エヌ・ジーのLNG基地が完成、1991年には九州電力新大分発電所が運転を開始しました。一方で、日産自動車は6号地の土地を取得したものの、業績低迷により進出を断念しました。

現況

近年、大分市内陸部では、キヤノンや東芝といった電子・精密機器メーカーの進出が目立つ一方で、大分製鐵所では中国などの鉄鋼需要増加を背景に生産設備が増強され、2004年には改修を終えた第2高炉が世界最大となりました。これにより、大分臨海工業地帯は、日本国内における重工業の重要拠点としての地位を維持しています。

また、6号地、7号地の遊休地では、2012年夏以降、メガソーラーの建設が進められ、2014年3月には総出力12万5,500kWとなり、国内最大級のメガソーラー集積地となりました。特に、2014年3月12日に運転を開始した大分ソーラーパワーは、日本最大の太陽光発電所として知られています。さらに、隣接地域にある三井造船大分事業所細遊休地でも、関連会社によりメガソーラーが建設され、2015年8月に運転を開始しました。

主要企業・施設

大野川を基準として、左岸から西に向かって1～5号地、右岸から東に向かって6～7号地が造成されています。

5号地
中小企業団地
大分市公設地方卸売市場

3-4号地
日本製鉄大分製鉄所：世界最大の第2高炉
大分共同火力大分共同発電所
黒崎播磨大分マッド工場

2号地
昭和電工大分事業所：石油化学コンビナート
住友化学大分工場
新日鉄住金化学大分製造所
日油大分工場
サンアロマー大分工場
日本ポリエチレン大分工場

1号地
ENEOS大分製油所：九州唯一の製油所
旧[九州]]電力[[大分発電所]

6号地
大分エル・エヌ・ジー
九州電力新大分発電所：九州電力最大の火力発電所
南日本造船本社・大在工場
大分ソーラーパワー
日産グリーンエナジーファームイン大分
JA全農｢大分青果センター｣
富士紡ホールディングス:フジボウ愛媛(精密加工用研磨材工場)
大在公共ふ頭（大分港大在地区）

7号地
三井E&Sホールディングス:三井E&Sマシナリー大分工場
三井造船・三井不動産大分太陽光発電所
大分日吉原太陽光発電所
* 旧日吉原カントリークラブ(2014年6月閉鎖)



大分臨海工業地帯は、日本の重工業を支える重要な拠点として、これからもその役割を果たしていくことでしょう。

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