大包平

大包平（おおかねひら）

大包平は、12世紀に作刀されたとされる太刀で、日本の国宝に指定されています。東京国立博物館が所蔵しており、その正式な国宝指定名称は「太刀 銘備前国包平作（名物大包平）」です。現存する日本刀の中でも最高傑作の一つとして知られ、同じく名刀である童子切安綱と並び、「東西の両横綱」と例えられることもあります。

概要

大包平は、古備前派の刀工・包平によって作られた太刀です。包平という刀工は複数いたと考えられており、作風から大包平は後代の包平の作品であるとされています。その名の由来は、刀身が長大であり、かつ包平の作刀の中でも傑出した出来であることから「大」の字を冠して大包平と呼ばれるようになったと伝えられています。

伝承によると、池田家に伝わる以前は修験宗の社寺に奉納されていたという説や、大山祇神社に奉納されていたという説があります。江戸時代には、岡山藩主の池田光政が、刀剣の無駄な購入を諫める熊沢蕃山に懇願して入手したという逸話が残っています。しかし、実際には光政の祖父である池田輝政の時代にはすでに池田家に伝わっていたとする説もあり、正確な伝来時期は不明です。

池田家では、大包平を池田正宗や池田来国光といった他の名刀とともに代々大切に受け継ぎました。記録によると、具足始の儀式の際には、毎年具足とともに大包平が飾られ、池田家の年中行事に用いられていました。その後、1967年（昭和42年）に当時の文部省が6,500万円で買い上げ、以降は東京国立博物館に収蔵されています。

作風

刀身

大包平の刀身は、刃長89.2センチメートル、反り3.5センチメートル、元幅3.7センチメートルです。造り込みは鎬造、庵棟で、刀身は幅広く、重ね（刀身の厚み）は薄く、腰反りが高く、切先は猪首となっています。地鉄は小板目肌がよく詰み、地沸がつき、地景が頻繁に入り、淡く乱れ映りが現れます。刃文は小乱れを主体とし、小丁子、互の目が混じり、足・葉が入り、小沸がつき、匂口が深く冴えています。帽子は乱れ込んで浅く返り、二重刃ごころが見られます。刀身には表裏に棒樋が掻き流されています。茎は生ぶで、先は栗尻、鑢目は勝手下りです。目釘孔は2つありますが、茎尻近くに3番目の目釘孔と思われる、刃側に欠け込んだ大きな窪みがあります。

古備前派の刀工・包平は、通常「包平」と二字銘を切りますが、大包平は「備前国包平作」と長銘を切っている点が特徴的です。制作年代は平安時代末期、12世紀頃と推定されています。一般的に、これほど長大な太刀は重量が2kgを超えることが多いのですが、大包平の重量は1.35kgと非常に軽量です。これは、刀身の重ねが薄いためであり、長寸でありながら薄い造りを両立させていることは、当時の作刀技術の高さを証明するものとして高く評価されています。

脚注

注釈

出典

刀剣用語の説明

参考文献

小和田泰経『刀剣目録』新紀元社、2015年6月12日。ISBN 4775313401。NCID BB19726465。
文化庁監修『国宝・重要文化財大全』 別、毎日新聞社、2000年。ISBN 978-4620803333。

関連項目

天下五剣
童子切

外部リンク

東京国立博物館所蔵『太刀 銘備前国包平作（名物大包平）』 - e国宝（国立文化財機構）
太刀〈銘備前国包平作（名物大包平）／〉 - 国指定文化財等データベース（文化庁）

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