大友氏泰

大友氏泰（おおとも うじやす）は、鎌倉時代末期から南北朝時代にかけての武将であり、守護大名として活躍しました。大友氏の7代目当主にあたります。幼名は千代松丸といいました。

元弘3年/正慶2年（1333年）、父である大友貞宗が鎮西探題・北条英時を攻めるという決死の覚悟で幕府に反逆しようとした際、当時幼少だった氏泰に家督が譲られました。これは、もし貞宗が敗死した場合でも、幼い氏泰であれば幕府からの咎めを受けにくいという判断があったためと考えられています。同年12月、貞宗が急死したことにより、氏泰が正式に当主となりましたが、まだ幼少であったため、兄の貞載が補佐役を務めました。

その後、足利尊氏が後醍醐天皇に反旗を翻し、九州に落ち延びてきた際、氏泰は尊氏の再起に大きく貢献しました。この時期に元服を迎え、尊氏から「氏」の字を与えられ、氏泰と名乗るようになったとされています。また、建武3年（1336年）2月には、尊氏が大友氏を味方に引き入れるため、千代松丸（氏泰）とその兄弟を自身の猶子とする御判御教書を与えており、これ以降、大友氏一族は「源氏」を称することが許されました。

尊氏の再挙に貢献した功績により、室町幕府が開府した後、氏泰は豊後、肥前、豊前、日向の守護に任じられ、大友氏の勢力拡大に大きく貢献しました。氏泰は父と同様に臨済宗に深く帰依し、中巌円月を師と仰ぎました。中巌を開山として上野国利根荘（現在の群馬県川場村）に吉祥寺を創建したことでも知られています。

正平17年/貞治元年（1362年）、氏泰は亡くなり、家督は弟の大友氏時が継承しました。氏泰は、大友氏の勢力拡大に大きく貢献しただけでなく、文化面でも大きな足跡を残した人物として、歴史に名を刻んでいます。

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