大和市コミュニティバス

大和市コミュニティバス

大和市コミュニティバスは、神奈川県大和市内で運行されている地域密着型のバスです。愛称として「のろっと」と「やまとんGO」の2種類があり、どちらも神奈中タクシーが運行を受託しています。これらのバスは、公共交通機関が少ない地域での移動手段を確保し、高齢者をはじめとする地域住民の生活を支える重要な役割を担っています。

運行開始の経緯

大和市では、市内の東北部や南西部において公共交通機関が十分に整備されておらず、高齢者などの移動手段の確保が課題となっていました。この状況を改善するため、2000年度からアンケート調査や専門家を交えた検討会が開催され、コミュニティバスの導入に向けた検討が重ねられました。また、バス事業の規制緩和が進み、バス路線の参入や撤退が比較的自由に行えるようになったことも、コミュニティバス導入の後押しとなりました。

これらの検討結果と外部環境の変化を踏まえ、2002年には北部ルートと南部ルートの2ルートで実験運行が開始されました。当初の想定を大幅に上回る利用があったため、実験運行終了後、本格運行に移行しました。本格運行開始時には、一部路線のルート変更なども行われ、その後も着実に利用者数を伸ばしています。

2006年度には、運行費用が約7000万円、運賃収入が約3000万円となり、大和市の負担額は約4000万円となっています。

利用者数の推移

2002年度: 542人
2003年度: 699人
2004年度: 792人
2005年度: 836人
2006年度: 847人

運行地域拡大

既存の2ルートに加え、交通利便性が低い地域を解消するため、中央林間西側地域、相模大塚地域、深見地域、桜ヶ丘地域の4地域で、2013年10月から順次実験運行が開始されました。各地域での6ヶ月間の実験運行と準備期間を経て、2014年度からは本格運行に移行しました。

年表

2000年: 公共交通施策調査を開始。
2001年: コミュニティバス運行に向けた検討準備会、検討会議を設置。
2002年10月1日: 実験運行開始。
2003年: 愛称を「のろっと」に決定。
2004年4月1日: 「のろっと」北部ルート、南部ルートの本格運行を開始。（神奈川中央交通が運行）
2006年: 南部ルートが高座渋谷駅西口乗り入れ開始。
2008年: 南部ルートの運行時間帯を拡大。
2010年12月21日: 北部ルートが南林間駅東口、南部ルートがゆとりの森に乗り入れ開始。
2013年10月1日: 新しいコミュニティバスの実験運行を開始。
2014年10月22日: 新しいコミュニティバスの愛称を「やまとんGO」に決定。
2014年10月30日: 「やまとんGO」中央林間西側地域、相模大塚地域の本格運行を開始。（中央林間西側地域は海老名相中が、相模大塚地域は神奈川中央交通が運行）
2015年1月29日: 「やまとんGO」深見地域、桜ヶ丘地域の本格運行を開始。南部ルートバス停新設、ダイヤ改正（海老名相中が運行）
2015年10月1日: 「のろっと」北部ルートを「A・B系統」の2ルートに再編。
2019年10月1日: 「やまとんGO」を神奈中タクシーに全面移管。
2023年10月1日: 「のろっと」を神奈中タクシーに全面移管。

のろっと

2004年に本格運行を開始した「のろっと」は、北部ルートと南部ルートがあります。小型ノンステップバスが使用され、運賃は100円です。愛称は、2003年に市民からの公募で決定しました。その由来は、「乗ってみたいな、でも、私のまちのコミュニティバスだから…よし、乗ろっと！」という気持ちが込められています。

路線

北部ルート

A系統: 中央林間駅 - つきみ野駅 - 南林間駅東口 - 市役所
B系統: 中央林間駅 - 下鶴間 - 市役所

2004年4月より運行開始。中央林間駅を起点として市役所まで運行後、系統を変更して中央林間駅まで戻ります。市役所では乗車したまま乗り越すことが可能で、追加運賃は不要です。7時台から18時台まで運行しています。

南部ルート

大和駅 → 桜ヶ丘駅西口 → 高座渋谷駅西口 → ゆとりの森 → 高座渋谷駅西口 → 桜ヶ丘駅西口 → 大和駅

2004年4月より運行開始。大和駅を起点とした循環ルートで、8時台から18時台まで約60分間隔で運行しています。

運賃

小学生以上: 100円
回数券: 11枚綴り1000円
PASMO、Suicaなどの交通系ICカードは利用可能ですが、神奈川中央交通一日フリー乗車券、「やまとんGO」回数券は利用できません。

車両

以前は三菱ふそう・エアロミディMEが使用されていましたが、2015年度に日野・ポンチョに代替されました。2012年8月31日からは、車内アナウンスに市内の幼稚園児・保育園児の声が採用されています。また、一部の旧型車両は海老名駅と寒川駅を結ぶ「海73」系統で使用されています。2014年度には車両の老朽化に伴い、南部ルートと北部ルートの両方に日野・ポンチョが導入されました。デザインはイラストレーターの及川正通氏によるもので、空想の世界「ドリームマップ（YAMATO）」が描かれています。

やまとんGO

2014年度から本格運行を開始した「やまとんGO」は、中央林間西側地域、相模大塚地域、深見地域、桜ヶ丘地域を運行しています。路線長は「のろっと」と比較して短く、住宅街の狭い道路を通るルートとなっています。ワゴン車を使用しており、運賃は150円と「のろっと」よりも高くなっていますが、運行間隔は30分と短く、利便性が向上しています。愛称は2014年に公募により決定し、大和市のイベントキャラクターである「ヤマトン」に由来します。

路線

中央林間西側地域

右回り: 中央林間駅東口 → りんかんモール → 南林間駅東口 → オイレス工業前 → 中央林間駅東口
左回り: 中央林間駅東口 → 南林間中学校 → 南林間駅東口 → りんかんモール → 中央林間駅東口

2014年10月30日より運行開始。中央林間駅を起点とした循環ルートで、右回りと左回りがあります。

相模大塚地域

相模大塚駅 - 泉の森 - 東名大和バス停 - 市役所 - 南林間駅東口

2014年10月30日より運行開始。相模大塚駅と南林間駅東口を結ぶ往復ルートです。

深見地域

大和駅 - 大和東高校 - 一ノ関 - 市役所

2015年1月29日より運行開始。大和駅と大和市役所を結ぶ往復ルートです。

桜ヶ丘地域

右回り: 桜ヶ丘駅東口 → 上和田中学校 → 大和南高校 → 高座渋谷駅東口 → 桜ヶ丘駅東口
左回り: 桜ヶ丘駅東口 → 高座渋谷駅東口 → 大和南高校 → 上和田中学校 → 桜ヶ丘駅東口

2015年1月29日より運行開始。桜ヶ丘駅を起点とした循環ルートで、右回りと左回りがあります。

運賃

小学生以上: 150円
回数券: 11枚綴り1500円
PASMO、Suica、神奈川中央交通一日フリー乗車券、「のろっと」回数券は利用できません。

乗継制度

「南林間駅東口」バス停と「市役所」バス停では、他の地域の路線に無料で乗り継ぎが可能です（やまとんGOのみ）。乗り継ぎには、降車時に乗務員から乗り継ぎ券を受け取る必要があります。

車両

日産・NV350キャラバン コミュニティバス仕様車とトヨタ・ハイエース コミューター（バス改造車）が使用されています。降車ボタンや車内外放送装置が備えられ、ハイエースには車外照射灯や乗降中表示灯も搭載されています。乗客定員は通常車両が12人、車いす対応車両が6人（車いす非乗車時は10人）です。デザインは「のろっと」と同様に及川正通氏が担当し、「森の町」「夢の町」をイメージしたもので、大和市イベントキャラクターの「ヤマトン」が描かれています。

その他の移動支援

地域乗合交通創出支援事業（西鶴間・上草柳地域「のりあい」）

路線バスやコミュニティバスの導入が難しい地域では、住民が主体となって移動手段を提供する事業が行われています。西鶴間・上草柳地域では、8人乗りのワゴン車を使用し、住宅街と鉄道駅や商業施設を結んでいます。運賃は無料で、運営費は寄付金などで賄われています。運転や添乗はボランティアが行い、市は車両や燃料の提供、広報協力などを行っています。

関連項目

中央林間西
日本のコミュニティバス一覧

外部リンク

大和市/コミバス

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