大和市下鶴間ふるさと館

大和市下鶴間ふるさと館は、神奈川県大和市にある市立の文化施設です。かつて大山道（矢倉沢往還）の宿場町として栄えた下鶴間宿に位置し、大和市指定重要有形文化財である旧小倉家住宅の母屋と土蔵を現地復元した建物が特徴です。2006年4月1日に開館し、宿場の商家建築として神奈川県下でも貴重な存在とされています。

概要

ふるさと館は、旧小倉家住宅の母屋、土蔵、そして管理棟から構成されています。母屋は、みせ（12.5畳）、ざしき（10畳）、なんど（8畳）、おくざしき（8畳）の四間取りで、当時の生活空間を再現しています。館内には、住宅解体時に発見された薬類や、地域の歴史資料、工芸品などが展示されており、下鶴間宿の歴史や文化に触れることができます。

利用案内

• - 開館時間: 午前10時から午後4時
• - 休館日: 年末年始（12月29日 - 1月3日）、月曜日、火曜日（祝日の場合は開館）、祝日の翌日（土、日、祝日は除く）
• - 入館料: 無料
• - 母屋の利用料: 1部屋あたり1時間300円

沿革

小倉家について

旧小倉家住宅は、大和市下鶴間2359番地にありました。下鶴間は、大和市の北部、境川の右岸に位置し、かつては相模国高座郡下鶴間村でした。村の中央を矢倉沢往還が東西に貫き、東部には八王子道が南北に伸びていました。旧小倉家住宅は、下鶴間宿の東端に位置し、観音寺や諏訪神社にも近い、交通の要衝でした。

小倉家の歴史は、詳細が不明な部分もありますが、家伝や本家筋にあたる長谷川家の「家譜」を総合すると、少なくとも慶安年間（1648年から1652年）には下鶴間村の旧家として存在していたと考えられます。小倉家は1813年に一度断絶しましたが、1852年に名主の長谷川彦八が、愛甲郡山際村の梅沢家から婿養子を迎え、自身の長女と結婚させることで再興しました。再興した小倉家は、長谷川家の分家となりました。

小倉家は雑貨商を営み、江戸時代末から続いていました。1903年には下鶴間に郵便局が開設され、小倉家の2代目嘉一が初代局長となりました。嘉一が病死後、一時高下鷲蔵が局長を務めましたが、同年9月には小倉家の3代目嘉一が局長に就任しています。郵便局は、1929年に別の場所に移転するまで、小倉家の敷地内にありました。小倉家は4代目になってから金物商となり、「金物屋」と呼ばれるようになりました。また、長谷川家の新宅という意味で、「シンタク」とも呼ばれていました。1961年に商売をたたんで中央林間へ転居し、建物は貸家として使われるようになりました。

建物について

旧小倉家住宅は、約340坪の敷地に主屋と土蔵が現存しています。創建年代を示す棟札は見つかっていませんが、解体調査の際に「ざしき」の床板裏から、黒船の絵や「安政三年」という落書きが見つかり、1837年の建築と推定されています。また、伊豆の石田利三良という大工が幕末期に下鶴間で働いていたことも判明しています。土蔵は、1871年に発行された英字新聞に下鶴間宿の写真に写っていることから、当時から存在していたことが分かります。当初は、桁行七間半（約13.6メートル）、梁行五間半（約10メートル）の入母屋造、茅葺の建物でした。間取りは、広い土間、板敷きの「みせ」、奥に10畳の「ざしき」、手前に「なんど」、奥に「おくざしき」という四間取りです。2階では養蚕が行われていました。その後、郵便局舎の増築や大正期の増築、1967年の屋根のトタン葺きへの変更などが行われ、1971年には貸店舗への改装もされました。

1995年に主屋部分が、1997年には土蔵も大和市指定重要有形文化財に指定され、解体調査後、移築復元されました。土蔵の解体中に、1918年に再建されたものであることが判明しました。土蔵は主屋の西側にあり、東向きに建てられています。

ギャラリー

[展示物写真の紹介]

交通アクセス

• - 鉄道:

- 小田急江ノ島線 鶴間駅下車 徒歩約20分
- 東急田園都市線 つきみ野駅下車 徒歩約20分

• - バス:

- 神奈川中央交通バス 「下鶴間」バス停下車
- 大和市コミュニティバス「のろっと」B系統 「下鶴間」バス停下車

脚注

関連項目

• - 下鶴間宿
• - つる舞の里歴史資料館

外部リンク

• - 下鶴間ふるさと館
• - 「宿場町」を感じる 下鶴間ふるさと館まつり

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